輸入時に関税専門家に関税分類解釈を依頼できる制度が導入

(タイ)

バンコク発

2021年02月25日

タイ税関は2月17日、通達第28/2564号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出し、輸入時に関税分類にかかる問題が発生しそうな場合に、保証金を預けることで円滑に輸入通関ができる制度を導入した。「税関の担当によって関税分類の解釈が異なる」「関税分類解釈をめぐる係争で輸入手続きに時間がかかる」といった、貿易手続き上の問題点が解消される可能性がある。

同制度では、輸入申告システムに入力する際に「税関職員と面会し、関税分類判断のための保証金を預けることを希望する」旨を記入することで、輸入港において関税分類の専門家である税関職員と面会し、適切な判断を依頼することができる。これまでは関税局の本庁で判断していた関税分類が、各輸入港の税関専門家に判断権限が分散化されることにより、判断にかかっていた時間の短縮が期待できる。

本制度の利用が想定されるケースは、(1)関税分類が議論された前例のない物品を輸入するに当たって、判断を仰ぐため税関職員との面会を希望する場合、または(2)既に保証金をつけて輸入した実績があるものの、関税分類が判断されていない、または判断されたものの、不服申立中の場合など。

本制度の利用を希望する場合、輸入者は通常の情報に加えて、システム上で次の事項を明記する。

  • 預託事由コード欄に「D02」と記入。
  • 査定要求コード欄に「Y」を記入(関税分類判断などのため税関職員との面会を希望するコード)。
  • 備考欄に「Request to pay duty under HS code [HS番号] / duty rate[関税率](関税率の低いHSコード)and request to place the guarantee for HS code [HS番号] / duty rate[関税率](関税率の高いHSコード)」と記載する。
  • 既に保証を付けて輸入した物品と同一のものの場合、参照申告番号欄に関税分類係争中の当該輸入申告番号と品目を記入。

本制度では、先例判断や関税専門家の裁量により関税分類が決定されるが、通関手続き中に決定しない場合(係争が解決されない、または不服申立手続き中の場合)、物品サンプルが採取された上で、貨物は引き取りができる。通関時に関税分類が決定した場合、通関手続きが完了した時点で輸入者に関税分類決定が通知される。低関税率に分類された場合は保証金が返金されるが、高関税率に分類された場合は不足関税分の精算に保証金が使用される。

本制度にかかる問い合わせ先は、関税局関税課(+66-2-667-7000、内線:207389)まで。

(シリンポーン・パックピンペット、北見創)

(タイ)

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