第4四半期の経常収支、25四半期ぶりに赤字転落

(タイ)

バンコク発

2021年02月05日

タイ中央銀行(BOT)が1月29日にリリースした国際収支統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2020年第4四半期(10~12月)の経常収支は11億6,800万ドルの赤字となり、2014年第3四半期(7~9月)以来のマイナスとなった。内訳は、貿易収支(輸出入ともFOB価格)が82億3,100万ドルの黒字(前年同期は59億6,900万ドルの黒字)と増加したが、サービス収支および第1次・第2次所得収支の合計が94億ドルの赤字(同56億1,500万ドルの黒字)と大幅に落ち込んだ(添付資料図参照)。

2020年通年では、経常黒字は前年比56.7%減の165億3,900万ドルと半分以下に縮小した。内訳では、貿易黒字は49.0%増の398億2,000万ドルと増えたが、サービス収支および第1次・第2次所得収支の合計は232億8,100万ドルの赤字と、前年の114億8,100万ドルの黒字から転落した。

半年でGDP比5%相当の外貨受け取りが消失

2020年第4四半期の国際収支の詳細項目は未発表だが、2020年第2四半期(4~6月)から第3四半期にかけてのサービス収支の傾向をみると、同年4~9月の旅行での受取額は前年同期比90.7%減の25億500万ドル、乗客輸送での受取額は92.7%減の1億5,900万ドルと9割以上も縮小した。両項目の受取額は前年同期に比べて266億ドルほど少なくなっており、これはタイの2019年の名目GDPの約5%に相当する。年間で約4,000万人来訪していた観光客が、新型コロナウイルスの影響で失われた影響は甚大だったといえる。

(北見創)

(タイ)

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