2020年の輸出入、新型コロナ危機の影響受け記録的な落ち込み

(スイス)

ジュネーブ発

2021年02月04日

スイス連邦関税局の1月28日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2020年のスイスの貿易は、輸出が前年比7.1%減の2,251億スイス・フラン(約26兆3,367億円、CHF、1CHF=約117円)、輸入が11.2%減の1,821億CHFだった(添付資料表1参照)。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて第2四半期(4~6月)が大きく落ち込んだことにより、輸出入ともに2009年以来の減少幅となった。一方、貿易黒字は前年より58億CHF拡大し、過去最高の430億CHFを記録した。

2020年の輸出を品目別にみると、化学品・医薬関連品を除いた全ての品目で前年よりも減少した。特に大きく落ち込んだ装身具・宝飾品(前年比34.4%減)、時計(同21.8%減)は、それぞれ40億CHF、47億CHFの減少となり、全体減少額173億CHFの約5割を占めた。機械および電気・電子機器(同11.3%減)、金属(同11.2%減)も減少した。輸出の約5割を構成する化学品・医薬関連品は、免疫学的製品と製剤用有効成分が伸びたものの、薬品が減少し、前年比1.6%の増加にとどまった。

輸出を国・地域別にみると、アジア(前年比8.8%減)、欧州(同6.2%減)、米国(同6.0%減)の3つの主要な経済圏全てで縮小した(添付資料表2参照)。アジアは、中国が化学品・医薬関連品と時計に牽引されて前年比10.0%の増加となった一方、香港(同34.4%減)と日本(14.1%減)は減少し、アジア全体で前年から46億CHFの減少となった。欧州では、フランスが前年比17.3%の減少により2000年以来の低水準となり、英国(同15.3%減)、ドイツ(同8.4%減)、イタリア(同8.2%減)も縮小し、欧州全体では前年から81億CHFの減少となった。

2020年の輸入を品目別にみると、食品・飲料(前年比3.2%増)と繊維・衣類(同3.1%増)を除いた全ての品目で減少した。装身具・宝飾品(同54.5%減)は90億CHF減少し、減少全体の230億CHFの約4割を占めた。エネルギー(同40.4%減)も落ち込み、金属(同13.0%減)、輸送用機器(同10.8%減)、機械および電気・電子機器(同6.4%減)も縮小した。化学品・医薬関連品は、薬品と免疫学的製品が伸びたものの、製剤用有効成分と原材料がそれを上回るペースで縮小し、2.8%の減少となった。

輸入を国・地域別にみると、米国(前年比17.2%減)、欧州(同11.2%減)、アジア(同9.9%減)で減少した。欧州では、最大の輸入元であるドイツが前年より8.2%減少したほか、英国(同45.0%減)、アイルランド(同39.3%減)、フランス(同16.0%減)、イタリア(同10.3%減)などの減少で163億CHFに達し、全体減少額の約7割を占めた。アジアでは、シンガポール(同60.0%増)が化学品・医薬関連品に牽引されて急増し、中国(同8.0%増)も繊維・衣類の増加により伸びた。日本(同9.9%増)も増加した一方で、アラブ首長国連邦(同76.4%減)が製錬用の金や宝飾品が59億CHF減少し、アジア全体では41億CHFの減少となった。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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