シンガポール航空、全乗務員にワクチン接種の上で、航空便を運航

(シンガポール)

シンガポール発

2021年02月16日

シンガポール航空(SIA)グループは2月11日、パイロットをはじめ乗務員全員が新型コロナウイルスのワクチンを接種した上で、航空便を運航したと発表した。運航したのは、同日のSIAのインドネシア・ジャカルタ便、および、同グループの航空会社のスクートのタイ・バンコク便と、シルクエアーのカンボジア・プノンペン便。これにより、SIAはアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空などと並んで、ワクチン接種した乗務員だけで航空便を運航する最も早い航空会社の1つとなった。

SIAによると、同グループのパイロット、全乗務員の90%以上がワクチンを接種することに同意している。ゴー・チュン・ポン最高経営責任者(CEO)は発表の中で、「ワクチン接種は、地上と機上での堅固な検査と幅広い安全対策の導入とともに、国境の往来再開と旅行の安全強化のカギとなる」と述べた。シンガポール運輸省によると、2月10日時点で航空や海運会社などの輸送分野の関係者約5万2,000人が、新型コロナウイルスの1回目のワクチン接種を終えた。これにより、旅行者と接する客室乗務員やパイロットなどの航空関係者と、港の船舶に乗り込む必要のある海運従事者など、最前線で働く労働者約4万3,000人のうち9割以上が1回目のワクチンを接種している。

約25万人が1回目のワクチンを接種

リー・シェンロン首相は2月11日、中国旧正月(春節)のメッセージにおいて、これまでに国内で約25万人が1回目のワクチン接種を終えたと発言した。シンガポールでは2020年12月30日から、医療関係者を皮切りに、ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチン接種を開始している(2021年1月13日記事参照)。1月27日からは、高齢者が多い一部地区において、高齢者のワクチン接種を始めている。さらに保健省は2月3日、米国モデルナの新型ワクチンの使用を承認した。

保健省によると、2月14日の新型コロナウイルスの新規感染者は14人(累計5万9,800人で、うち5万9,621人が回復し、死者29人)。同日の新規感染者の全員が国外での感染者で、入国後のPCR検査で感染が判明した。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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