バイデン米大統領、医療保険制度拡充の大統領令に署名、人工中絶支援組織への資金援助禁止を撤回

(米国)

ニューヨーク発

2021年02月02日

ジョー・バイデン米国大統領は1月28日、医療保険制度の拡充に関する大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。また同日、人工妊娠中絶を支援する国際的な組織に政府の資金援助を禁じる政策を撤回する覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発令した。

大統領令では、新型コロナウイルス感染拡大による失業で無保険者が増加していることを踏まえて、保健福祉省に対して、医療保険制度改革法(ACA、通称オバマケア)で設立された公的医療保険仲介サービス(マーケットプレイス)に特別加入期間(2021年2月15日から3カ月間)を設けるよう指示し、国民に医療保険加入を促すとした。また、関係省庁に、現行の政策や規則などを速やかに見直すよう指示した。具体的には、トランプ前政権で厳格化された、低所得者向けの公的医療保険「メディケイド」の加入要件の見直しのほか、新型コロナウイルス感染に関連する合併症を含めた、基礎疾患のある人々に対して、不利となっている政策や慣行の見直しなど、国民の医療へのアクセスが向上するよう検討する。これらの見直しを踏まえた上で、関係省庁の長は、ACAに規定された方針と矛盾している政策については、中断、修正、または取り消しといった追加措置を講じることを命じる。

バイデン大統領は署名に当たり、「新型コロナウイルスとの闘いが続く中、米国人が医療を有効に利用できることがますます重要になっている」とし、今回の大統領令により、トランプ前大統領がもたらした被害を元通りにし、同氏が大統領になる前の医療保険制度を取り戻すと述べた。

また、覚書では、人工妊娠中絶を支援する国内外の国際的な組織に、政府の資金援助を禁じる政策(メキシコシティ政策)を撤回することとした。同覚書では、米国のみならず世界の女性の性と生殖に関する健康と権利を支持することの意義を示した。保健福祉長官に対しては、トランプ前政権下で施行された連邦政府の資金の使用、または女性の医療へのアクセスに不当な制限を課す規則を見直すよう命じた。

(樫葉さくら)

(米国)

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