2020年9月の貧困率、新型コロナの影響で3年ぶり10%超に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年02月26日

インドネシア中央統計庁(BPS)は2月15日、2020年9月時点の貧困率を発表した。貧困率は10.19%となり、2017年9月以来初めて10%を超えた。前期(2020年3月)と比べて0.41ポイント、前年同月比では0.97ポイント増加した。2020年9月の貧困層数は2,755万人となり、2020年3月時点から113万人、2019年9月時点から276万人増加した。なお、2020年9月の貧困水準は、1人当たりの月額支出で45万8,947ルピア(約3,442円、1ルピア=約0.0075円)だった。

都市部・農村部に分けた貧困層の割合では、都市部が前年同月比1.32ポイント増の7.88%となり、農村部では0.60ポイント増の13.20%となった。都市部での上昇率が農村部よりも顕著で、新型コロナウイルスの影響が都市部でより深刻だった。

BPSの報告書では、2020年3月から2020年9月までの期間に貧困率に影響を与えた要因として、新型コロナウイルスの流行に伴う行動・活動の変化、実質GDP成長率のマイナス成長、GDPに占める家計支出の減少、低調な物価上昇率、2020年8月時点の失業率の増加、不完全雇用労働者(注)の増加などを挙げている。

BPSのスハリヤント長官は「COVID-19により貧困層の数は増加したが、さまざまな社会的保護プログラムのおかげで、インドネシアの増加は予想ほど深刻ではなかった」としており、例として、政府が実施した社会扶助プログラムや、労働者や中小企業の経営者など新型コロナウイルスの影響を受けた人々に対してスキルアップの機会を提供する就職前カードプログラムを挙げた(「ジャカルタ・ポスト」紙2月17日)。一方で、同氏は「貧困世帯の46.30%が主な収入源として農業に依存している」とも述べ、農業セクターの動向を注視していく必要があることを強調した(「テンポ」紙2月18日)。

(注)完全雇用にまで達していない雇用水準を指し、労働者が一般の雇用労働者の標準に達しない労働時間・日数などの条件で雇用される状態。

(尾崎航)

(インドネシア)

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