外出禁止措置を2月28日まで延長、ワクチン接種遅れるも学校は再開へ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年02月02日

アルゼンチン政府は1月30日、必要緊急大統領令(DNU)67/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、新型コロナウイルス感染拡大により2020年3月20日に発令した外出禁止措置を、2021年2月28日まで再度延長した。今回で18回目の延長となる。

外出禁止措置は、感染拡大防止を図るため、強制隔離を講じる地域(ASPO)と、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つ地域(DISPO)に分けられるが、現在は、国内全土がDISPOの指定地域となっている。

なお、今回のDNUにより、各州知事およびブエノスアイレス市長の判断によって学校の再開を認めることになった。ただ、教職員、児童生徒、学生、保護者などは公共交通機関の利用が認められるが、外出許可証の取得が必要。また、継続される主な措置は以下のとおり。

  • 国内全土において、新型コロナウイルス感染症の「陽性者」および「感染の疑いのある者」の移動を禁じる。
  • 非居住者外国人の入国禁止措置および国境封鎖措置(2021年1月12日記事参照)も2月28日まで延長する。
  • DISPOの指定地域では、工業、商業、サービス業など、あらゆる経済活動を実施するためには、各州・市政府が認可した衛生プロトコル(手順書)を順守し、屋内での収容人数は最大50%までとする。ブエノスアイレス首都圏(AMBA、ブエノスアイレス市とブエノスアイレス州周辺35都市で構成する地域)では、飲食店での屋内の収容人数は最大30%までとする。
  • DISPOで引き続き禁じられるのは、密閉空間または民間施設での20人以上の文化・娯楽・宗教的イベントや自宅での集会の開催、公共施設の屋外スペースでの100人以上の文化・娯楽・宗教的イベントの開催、密閉空間での10人以上のあらゆる運動・スポーツの実施、映画館・劇場・文化センター。公共交通機関の利用はエッセンシャルワーカーに限る。

保健省によれば、1月31日の全国の新規感染者数は4,975人で、累計感染者数は192万7,239人、累計死者数は4万7,974人。また、DNUによれば、2020年12月最終週の全国の新規感染者数のうち22%はAMBAで確認されていたが、2021年1月第3週には41%まで上昇した。感染は落ち着きをみせているものの、AMBA以外での感染拡大も懸念されており、特に西部ネウケン州、南部リオ・ネグロ州、中央西部サンタ・フェ州での集中治療室(ICU)の占有率はそれぞれ92%、80%、75%となり、医療体制の逼迫が危惧される。

1月29日時点で、ロシア製ワクチン「スプートニクV」を2回接種したのは6万5,583人。同日の現地紙「クラリン」によると、ワクチン確保が大幅に遅れている中、政府は、中国医薬集団(シノファーム)、中国シノバック・バイオテック、ベルギーのヤンセンファーマとの購入に向けた交渉を行っている。

教員組合側は、全教職員のワクチン接種を求めており、学校再開に向けた感染予防対策が不十分だと強く抗議している。政府の感染症対策委員会を構成する専門医は「学校の再開により、公共交通機関の利用者の増加、児童の感染拡大を懸念する」と発言している。アルゼンチンでは、2020年3月20の外出禁止措置の発令以降、2020年末まで学校は再開されず、オンライン授業のみが実施された。野党側の調べによると、約150万人の児童および生徒が学校とのつながりを失い、学校教育を受けていない深刻な状況にある。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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