ドイツ自動車産業連合会、2021年の世界の乗用車市場を前年比9%増と予測

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2021年02月08日

ドイツ自動車産業連合会(VDA)のヒルデガルド・ミュラー会長は1月26日の記者会見で、2021年の世界とドイツの乗用車市場の見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2021年の全世界の乗用車市場は前年比9%増の7,390万台に回復するも、新型コロナウイルスの影響拡大前の水準には戻らないとした。

VDAの販売予測を地域別にみると、欧州は前年比12%増の1,340万台で、うちドイツは8%増の315万台を予測。ミュラー会長は「新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、感染拡大を阻止できるようになれば、2021年後半に回復が見込める」とした。なお、中国は8%増の2,140万台、米国は9%増の1,580万台を予測している。

ミュラー会長は記者会見で、「2021年は、欧州とドイツの自動車産業の将来を決定づける年になる」とし、新型コロナウイルスの影響にもかかわらず、ドイツの自動車産業は構造転換を強力に進めるとした。電動化やデジタル化などの将来技術に対して、2025年までに総額1,500億ユーロを投資する見込みという。ミュラー会長は「われわれドイツ人が(エンジン)自動車を発明した。そして今、われわれはそれを再発明する」と表現し、駆動、蓄電技術、ハイブリッド技術、デジタル化、自動運転などの研究開発で、ドイツが引き続きトップクラスに位置するとした。内燃機関車についても、「内燃技術が問題なのではなく、その燃料と由来が問題」とし、合成燃料(e-fuel)(注)の研究の必要性も指摘した。

また、欧州委員会が2020年12月に発表した「持続可能なスマートモビリティー戦略」(2020年12月11日記事参照)について、ミュラー会長は「電気自動車を増やすことに集中している一方で、欧州レベルで充電インフラが足りない」と指摘。合成燃料や水素充電インフラの拡充など、戦略の対象範囲を拡大することを提案した。

(注)発電所や工場などから回収した、二酸化炭素と水素を合成して作られる燃料。再生可能エネルギーを活用して製造した水素を活用することで、乗用車の既存の内燃機関を使用したまま、カーボンニュートラルに近づけられるとされる。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ、世界)

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