米ロサンゼルス郡、全ての医療従事者にワクチン接種開始

(米国)

ロサンゼルス発

2021年01月15日

米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡の公衆衛生局は、1月11日から全ての医療従事者を対象に新型コロナウイルスのワクチン接種を開始した。州政府が1月7日に発表したワクチン接種の加速要請を受けたもの。それまでは同郡のワクチン接種は医療関係者の中でも一部の病院勤務者などに限定していた。

ロサンゼルス郡では、12月14日からワクチンの接種を開始しており、同郡のワクチン接種計画(注)に基づき、1月7日時点で医療関係者や介護施設の従事者、その住人を含め14万5,621人が1回目のワクチン接種を受けている。同郡は現在、接種計画上の「フェーズ1A」の段階にあり、医療・介護などの関係者や介護施設入居者への接種を優先しているが、2月上旬には「フェーズ1B」に移行して対象者を段階的に拡大し、5月上旬までに高齢者や基礎疾患がある人などの優先接種者へのワクチン接種が終了する見込み。

ロサンゼルス市は迅速なワクチン接種を可能とするため、ダウンタウン近郊のドジャー・スタジアムに設置されたロサンゼルス最大のPCR検査テスト場を大規模なワクチン接種用の会場とし、1日当たり1万2,000人分のワクチンを接種すると発表している。また、オレンジ郡保健局はロサンゼルス近郊でもディズニーランドリゾートをワクチンの接種会場にすると発表している。

このように、ワクチンの接種が早急に進められる中、医療従事者の一部は副作用への懸念や政府によるワクチンの安全性確認への不信、ワクチン開発に対する政治的関与への懸念などにより、接種を拒否していると報道されており、当初の見込みどおりにワクチンが普及するか注目される。

ロサンゼルス郡では、1月13日に1日当たり新規感染者数1万4,564人を記録し、累計感染者数95万8,497人に達しているほか、ロサンゼルス郡を含めた南カリフォルニア地域の集中治療室(ICU)病床利用率は100%に達しており、厳しい状況が続いている。

(注)ロサンゼルス郡は、カリフォルニア州のワクチン接種計画「Vaccinate All 58」を参考に、ワクチンを優先的に接種すべき者として、フェーズ1A(医療・介護などの関係者、介護施設入居者)、フェーズ1Bティア1(75歳以上の高齢者、教育やチャイルドケア、緊急サービス、食品・農業に関する従事者)、フェーズ1Bティア2(65歳以上74歳以下の高齢者、物流、商業施設、小売り、住居施設サービス、重要な製造に関する従事者、ホームレス住居施設や留置場の従事者)、フェーズ1C(50歳以上64歳以下の個人、16歳以上49歳以下の基礎疾患のある個人、上下水道、国防、エネルギー、化学物質、情報通信、金融、政府機能に関する従事者)に分類して示している。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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