2020年下期の景気動向調査公表、日系企業の業況感は大幅に改善

(タイ)

バンコク発

2021年01月28日

バンコク日本人商工会議所(JCC)が1月26日に公表した「2020年下期タイ国日系企業景気動向調査」によると、在タイ日系企業の業況感DI(注)は、2020年上期に大幅に落ち込んだものの、2020年下期(見通し)には大幅に改善した。2021年上期にかけても、さらに改善する見通しとなった。

2020年上期の実績値はマイナス64と、全業種でマイナスになった。特に、輸送用機械がマイナス99、鉄鋼・非鉄がマイナス92、繊維がマイナス82、商社がマイナス66、運輸・通信がマイナス62となるなど、自動車関連業種の落ち込みが大きかった。新型コロナウイルス感染拡大の影響から、国内の消費需要が大きく落ち込み、一部自動車メーカーが操業の一時停止などの措置を講じたことなどが、業況感を悪化させた要因とみられる。

2020年下期の業況感は、プラス6となった。多くの業種で業況感がプラスに転じた結果、大きく改善した。特に自動車関連業種(輸送用機械がプラス54、鉄鋼・非鉄がプラス50など)の改善幅が大きく、回答企業のコメントでも「2020年6月から8月が売り上げの底だ」との見方が多く、2020年上期から下期にかけては持ち直しの動きがみられた。

他方、建設・土木(マイナス51)など一部の業種については、マイナス幅は縮小するものの、大きな改善はみられなかった。主な要因として、政府の公共事業などが想定より進まなかったこと、受注済みの案件が延期されたこと、などを挙げている。

2021年上期の見通しについては、改善幅は縮小するものの、業況感はさらに改善(プラス6→プラス14)する見通しだ。

ただし、本調査結果は、調査期間が2020年11月16日から12月18日までだったため、2020年末から発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響(2020年12月21日記事参照)を考慮していない。従って、今後の見通しは下振れする可能性がある。

(注)業況感DI(Diffusion Index)は、前期と比較して業況が「上向いた」と回答した企業の割合から、「悪化した」と回答した企業の割合を差し引いたもの。プラスの場合は、前期に比べ業況が改善している企業が悪化している企業よりも多いことを示している。一方、DIがマイナスの場合は、前期に比べ業況が悪化している企業の方が多いことを示している。

(岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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