2020年の物価上昇率は5.1%に低下、家計預金額は19.8%増

(エジプト)

カイロ発

2021年01月19日

エジプトの中央動員統計局(CAPMAS)の1月10日の発表によると、2020年の消費者物価上昇率は前年比5.1%で過去5年で最小だった。

【エジプトの消費者物価上昇率推移(ヘッドライン年平均、前年比)】

  • 2016年:13.7%
  • 2017年:29.6%(注)
  • 2018年:14.4%
  • 2019年:9.4%
  • 2020年:5.1%

新型コロナウイルスの経済対策として、エジプト中央銀行が2020年3月に政策金利を12%台から9%台まで約3ポイント引き下げ、その後も利下げ傾向になっている。4~6月に新型コロナウイルス第1波があったものの、物価への影響は大きく表れなかった。

家計、企業、公的セクターの預金額が大幅に増加

また、中央動員統計局によると、エジプトにおける銀行預金額は、家計部門が前年比19.8%増の約3兆2,534億エジプト・ポンド(約21兆4,724億円、EGP、1EGP=約6.6円)となり、大幅な増加をみせた、民間企業は4.7%増の5,673億EGP、公共セクターは27.5%増の5,111億EGPとなった。既述のとおり、物価上昇が落ち着きをみせたほか、新型コロナ禍で消費マインドが落ち込むなど支出が減ったことなどが影響したとみられる。7~9月期の失業率は7.3%で「新型コロナ前」と比べても改善をみせたため(2020年11月24日記事参照)、収入を得る人が増えたことも要因とみられる。

(注)2017年の消費者物価上昇率は、前年比29.6%まで高騰したが、2016年11月に実施された変動相場制移行に伴う通貨の切り下げにより、輸入品価格が上昇したことが影響した。

(井澤壌士)

(エジプト)

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