2020年の自動車生産台数、100万台割れで1984年以来の低水準に

(英国)

ロンドン発

2021年01月29日

英国自動車製造者販売者協会(SMMT)は1月28日、2020年の国内自動車生産台数を発表した。総生産台数は前年比29.3%減の92万928台となり、1984年以来の低水準となった(添付資料表1参照)。総生産台数の81.3%を占める海外輸出向け生産は前年比29.1%減、国内向け生産は30.4%減となっている。

SMMTは、2020年の生産台数の大きな減少は新型コロナウイルスの世界的流行が主な原因としており、ロックダウンと生産現場での社会的距離確保により、生産量が抑制されたことが影響したとしている。加えて、英国・EU間の通商関係をめぐる不確実性が年末まで続いたことや、主要輸出市場の需要落ち込みなどを大幅減の要因に挙げた。

一方で、2020年も輸出が英国の自動車製造を牽引し、国内で生産した自動車の8割以上が海外に輸出された。英国の最大の輸出先はEUで、輸出台数は前年比30.8%減の40万460台、シェア53.5%となった。EU以外の主要輸出国では、米国と日本、オーストラリアへの輸出は全て減少し、それぞれ前年比33.7%減、21.6%減、21.8%減となった。一方、新型コロナウイルスの自動車市場への影響が比較的限定的だった中国と韓国、台湾への輸出は、それぞれ2.3%増、3.6%増、16.7%増となった。

メーカー別の生産台数では、日産が前年首位だったインドのタタ・モータース傘下のジャガー・ランドローバー(JLR)を抜いて1位となり、ミニ(BMW)が3位、トヨタが4位、ホンダが5位となった(添付資料表2参照)。

SMMTのマイク・ホーズ会長は「2020年の生産台数は最悪だった。新型コロナウイルスの世界的流行が英国の自動車生産に壊滅的な影響を与えた。当面の課題は、ゼロエミッションを推進する中で、新しい状況に適応し、追加の通関コストを克服し、国際競争力を取り戻すことだ。雇用を支援し全国的な経済成長を促して、スマートで持続可能なモビリティーへと移行していくために、政府と引き続き協力してバッテリー生産とサプライチェーンの変革への投資を呼び込んでいく」と述べた。

なお、SMMTによると、最新の英国自動車生産台数の見通しでは、2021年は100万台に回復することが予想されているが、国内外の新型コロナウイルスの影響に大きく依存するとしている。

(宮口祐貴)

(英国)

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