2020年の貿易、防疫物資や在宅関連商品の輸出好調でプラス成長

(中国)

北京発

2021年01月27日

中国海関(税関)総署の1月14日の発表によると、2020年通年の貿易総額(ドル建て、以下同)は前年比1.5%増の4兆6,463億ドルとなった(添付資料表参照)。うち輸出は3.6%増の2兆5,907億ドル、輸入は1.1%減の2兆556億ドルで、貿易収支は5,350億ドルの黒字となった(注1)。

ASEANが最大の貿易相手に

主要国・地域別では、ASEANが最大の貿易相手となった。輸出では米国、EUに次いで3位、輸入では1位だった。海関総署の李魁文報道官によると、ASEANなど東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定加盟国向け輸出の53.8%を電気機械製品が占め、うち集積回路や自動データ処理機械が好調だった。商務部国際貿易経済合作研究院の白明副所長は、ASEANが中国の最大の貿易相手となった要因として、両地域とも新型コロナウイルスの流行が比較的抑制されていること、経済的相互補完性が高いことなどを挙げ、今後はRCEP協定が両地域の貿易を一層強化するとの見方を示した(「21世紀経済報道」1月15日)。

「巣ごもり消費」関連や防疫物資の輸出が好調

品目別では、新型コロナウイルスの影響を受けて、防疫物資や「巣ごもり」関連製品が貿易の伸びを牽引した。海関総署によると、マスクなどの紡織品や医療機器、医薬品の輸出が輸出全体の伸びに対して1.9ポイント、ノートPCやタブレット、家電などの製品が1.3ポイントそれぞれ寄与した(注2)。

2020年の貿易が前年比プラスとなったことについて、白氏は、中国が国内感染を迅速に抑え込み、生産やサプライチェーンの復旧に注力したこと、輸出企業が迅速な生産ライン調整やオンラインを活用した市場開拓に取り組んだ結果との見方を示した(同)。

2021年の貿易について、白氏は、世界の新型コロナウイルス流行状況と外国の需要動向によって決まるとした上で、輸出企業の利益の観点からは、海上運賃の高騰や人民元レートの上昇による元高などに注意すべきと指摘した(同)。また、国務院発展研究中心対外経済研究部元部長の趙晋平氏は、2021年の貿易額は10%前後の成長を遂げると予測した一方、国外での新型コロナウイルスまん延の長期化、各国が取る財政刺激策や金融緩和の終了、各国での国産化促進や米国の対中追加関税賦課など保護主義の継続をリスクとして指摘した(「新京報」1月6日)。

(注1)元建てでは総額が1.9%増、輸出が4.0%増、輸入が0.7%減となった。

(注2)李報道官によると、防疫物資としては、マスク、防護服、ゴーグル、医療用手袋、人工呼吸器、測温器、新型コロナウイルス検査用試薬キットなどの輸出が伸びた。

(小宮昇平)

(中国)

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