テークアウトでの再利用可能な食品・飲料容器の提供、2023年から義務化

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2021年01月27日

ドイツ連邦政府は1月20日、スベニャ・シュルツェ環境・自然保護・原子力安全相が提案した「容器包装廃棄物法(Verpackungsgesetz)」の改正法案を閣議決定した。同改正法案は、EUの「特定プラスチック製品の環境負荷低減に関わる指令」(2019年5月22日記事参照)に準拠するもの。

同改正案により、レストランやビストロ、カフェ、ケータリング業者がテークアウト用の食事や飲料を提供する際に、2023年からは顧客に対し、再利用可能な容器で提供する選択肢を設けることが義務付けられる。なお、使い捨て容器での提供も引き続き可能だが、再利用可能な容器で提供する場合の価格は、使い捨て容器で提供する場合より高額であってはならない。また、テークアウトで飲料を提供する場合、全てのサイズについて再利用可能な容器で提供可能とする必要がある。従業員5人以下で、かつ売り場面積が80平方メートル以下の軽食堂やキオスクなどは対象外だが、その場合でも顧客が希望すれば、顧客が持ち込む再利用可能な容器で飲料や食事を提供する必要がある。シュルツェ環境・自然保護・原子力安全相は同改正法案について、「テークアウト分野における容器包装廃棄物の抑制に向けた重要な一歩」としている。

また同改正法案により、使い捨て飲料用容器のデポジット制度についても対象が拡大される。現在、ドイツ国内では、ビール、ミネラルウオーター、清涼飲料水、アルコール入りの飲料の使い捨てボトルに25セントのデポジットが課されているが、2022年からは、現在対象外とされる牛乳やジュース、ワイン、蒸留酒、栄養ドリンクなども含め、全てのペットボトルおよび缶がデポジット制度の対象となる。なお、牛乳および乳飲料については、2024年までの移行期間が設けられる。

さらに、再生プラスチックの利用促進も求める。2025年からは使い捨てのペットボトルについて、再生プラスチックの利用割合を最低25%とするほか、2030年からは全ての使い捨てプラスチックボトルについて、再生プラスチックを最低30%含めることを義務付ける。生産者は、同比率を各ボトルで満たすか、1年間にわたって全ボトルの生産で満たすか、自由に決められる。

ドイツ小売業連盟(HDE)は同改正法案について、基本的に歓迎の意を示す一方、「関係者全員が順守できる制度とするため、関連産業および外食産業に十分な時間を与えることが必要」と指摘し、義務化の時期を2024年まで後ろ倒しすることを求めた。また、牛乳および乳飲料の返却に当たっては、衛生や悪臭の問題が生じる可能性が高く、デポジット制度の対象外のままであるべきとした。

なお、同改正法案の成立には今後、連邦議会(下院)での議決および連邦参議院(上院)の承認を得る必要がある。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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