アストラゼネカがワクチン承認を申請、1月末には承認の見込み

(EU)

ブリュッセル発

2021年01月14日

EUの専門機関である欧州医薬品庁(EMA)は1月12日、英国の製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルス対策のワクチンの条件付き販売承認に向けた申請を受理したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同ワクチンの安全性や有効性などに関する審査が順調に進めば、欧州委員会によるワクチン承認の前提となる、EMAの承認勧告が、1月29日までに出される見込み。この場合、EUで初めて承認された、ドイツのビオンテックと米国のファイザーが共同開発したワクチン(2020年12月23日記事参照)を上回るスピード承認となる。今回の早期の承認見込みに関して、EMAは、臨床試験の段階からデータの提供を受ける逐次審査(ローリング・レビュー)が進んでいる結果だとしている(2021年1月7日記事参照)。ただし、一部報道によると、承認を急ぐ背景には、ワクチンの承認をめぐり、欧州委に対する批判が加盟国から相次いでいることもあるとみられる。

ビオンテック・ファイザー製ワクチンの購入を最大6億回分に

ビオンテックとファイザーのワクチンに関しては、欧州委は1月8日、2020年末に追加購入を決定した1億回分を含めた既存の3億回分の購入契約に加えて、さらに追加で最大3億回分の追加購入を加盟国に提案した。購入が決定した場合、2021年第2四半期には追加分の提供が開始されるとしている。またEMAは同日、同ワクチンの1瓶当たりの使用量を条件付きで5回分から6回分に増やすことを認めると発表している。欧州委は、加盟国からの批判を受け、ワクチンの確保や迅速なワクチン接種に向けた動きを活発化させているとみられる。

さらに、欧州委は1月12日、フランスのバイオ製薬バルネバと、事前購入合意に向けた予備的協議を終えたとし、追加分を含め最大6,000万回分の購入を検討していると発表した。これにより、既に事前購入合意をしたワクチンを含め、8件目となり、欧州委としてはワクチンの量の確保だけではなく、異なる技術に基づく多様なワクチンの採用も重視している。

(吉沼啓介)

(EU)

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