タイの2020年1~9月FTA利用、ASEAN中国FTAがASEAN域内FTAを上回る

(タイ、ASEAN、中国)

バンコク発

2021年01月08日

タイ商業省外国貿易局(DFT)は1月5日、2020年1月~9月の自由貿易協定(FTA)を利用した輸出額が前年同期比15.9%減の423億3,793万ドルだったと発表した。FTA利用が可能な輸出額(552億1,412万ドル、同14.3%減)の76.7%を占め、これをFTA利用率とすると、前年同期比1.4ポイント減となった。

計上した対象はタイが締結した13のFTAのうち、ASEAN香港FTA(AHKFTA)とタイ・ニュージーランド経済緊密化連携協定(TNZCEP)を除く11協定。利用額の大きいFTAは次のとおりで、ASEAN中国FTA(ACFTA)を利用した輸出額が、ASEAN域内のFTA(AFTA、ASEAN物品貿易協定:ATIGA)を上回った(添付資料表1参照)。

  • ASEAN中国(ACFTA):144億4,600万ドル(前年同期比5.0%増、利用率91.3%)
  • ASEAN〔AFTA(ATIGA)〕:136億3,600万ドル(27.0%減、61.6%)
  • 日本タイ(JTEPA):46億500万ドル(15.0%減、82.2%)
  • タイ・オーストラリア(TAFTA):34億5,200万ドル(31.0%減、69.0%)
  • ASEANインド(AIFTA):20億4,700万ドル(29.1%減、67.2%)

ACFTAの利用額が大きい品目としては、生のドリアン(17%)、天然ゴムを混ぜた合成ゴム(12%)、グアバ・マンゴー・マンゴスチン(5%)、自動車(5%)など。一方、AFTA(ATIGA)の利用は76%が工業製品で、総重量5トン以下の貨物自動車やエアコンなどの利用が多く、仕向け地としてはベトナムが34.0%、インドネシアが21.9%、フィリピンが16.4%、マレーシアが13.3%、カンボジアが5.2%の順となっている。

国・地域によっては複数の協定を締結しているため、国・地域別にみた場合に利用額が大きい5カ国・地域は次のとおり(添付資料表2参照)。

  • 中国:144億4,600万ドル(前年同期比5.0%増、利用率91.3%)
  • ASEAN:136億3,600万ドル(27.0%減、61.6%)
  • 日本:48億5,800万ドル(15.1%減、86.0%)
  • オーストラリア:47億6,500万ドル(21.0%減、95.3%)
  • インド:23億7,400万ドル(29.0%減、77.9%)

(北見創)

(タイ、ASEAN、中国)

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