マハーラーシュトラ州で新型コロナワクチン接種開始、一部で混乱も

(インド)

ムンバイ発

2021年01月20日

インド全土で1月16日から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。国内最多の感染者数を記録したムンバイを含むマハーラーシュトラ(MH)州でも、医療従事者を中心に接種が開始されたものの、一部で混乱が生じている。

MH州では接種計画第1期として、2万8,500人の医療従事者などが対象となった。第1期対象者の接種完了率は16日時点でムンバイ市48%、プネ市58%、タネ市76%となった。

インド政府の提供するワクチン接種管理アプリCo-WIN (Covid Vaccine Intelligence Network)の不具合で、接種予定者に通知が届かない事態が発生した。不具合を受け、州政府とムンバイ市はワクチン接種推進運動キャンペーン(vaccination drive)の一時中断と、1月19日の再開を発表した(1月18日付ムンバイ市公式ツイッター)。

また、医療従事者への接種では当初、第1期初期で約12万人への投与を想定していたが、同ロットで出荷されたワクチンを約1カ月の間隔で2回接種することが求められるため、実際の接種人数は約半数にとどまることとなった(「タイムズ・オブ・インディア」紙1月15日)。

接種計画では、第1期に医療従事者など、第2期に高齢者や重篤な併存疾患のある人を対象とする。一般市民への接種はその後となる。一般市民への接種開始時期について、州保健当局幹部は「半年から1年後になる見込み」と述べた(同紙1月15日)。州政府は、ムンバイでの感染拡大の端緒となった低所得世帯地域などを念頭に、低所得者に対しては無料接種も検討している(同紙1月16日)。

約2,000万人の人口を抱えるムンバイ市だが、1日当たりの新規感染者数は直近で500~600人となっている。現在の患者数も1月17日時点で7,000人を下回っている。感染は縮小傾向にあるが、いまだ一部鉄道が乗車規制を行い、学校への登校も一部を除き再開されていない状況だ。現地の生活はほぼロックダウン前の状態に戻りつつあるものの、さらなる規制緩和後、接触機会の急増による感染リスクが残る。

(比佐建二郎)

(インド)

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