地場企業が自動車のアフターマーケットをデジタル化

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年01月07日

インドネシア自動車工業会(GAIKINDO)によると、2020年1月から11月の国内の新車小売り台数は、新型コロナウイルス禍により、前年同期比50%減の47万4,910台に落ち込んだ。一方、購買活動のオンライン化が進み、オンラインで自動車部品を購買する人の割合が新型コロナウイルス発生前の5%から25%に上昇したとする調査結果もある(「ジャカルタ・ポスト」紙2020年6月29日)。インドネシアで自動車のアフターマーケット向けプラットフォームの運営を行うスタートアップのオトクリックス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2019年創業)は、米国系ベンチャーキャピタルのセコイアキャピタル、GKプラグアンドプレイ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどから出資を受ける。ジェトロは同社のマルティン・レイハン最高経営責任者(CEO)に、ビジネスの現状と展望についてヒアリングを行った(12月23日)。

写真 マルティン・レイハンCEO(同氏提供)

マルティン・レイハンCEO(同氏提供)

(問)インドネシアにおける自動車のアフターマーケットの課題はどこにあるか。

(答)インドネシアには、自動車の正規ディーラーが約4,000店あるが、そこで入手できるアフターパーツやサービスは高価で、かつ利用客が多い分、待ち時間が長い。正規ディーラーによる保証期間が終了すると、街中にある独立型の整備工場(以下、整備工場)がよく利用されるが、メーカーから整備工場にアフターパーツが届くまで複数の中間業者を挟むため、価格が高くなる。また、サービスが平準化されておらず、アフターサービスが限定的だ。自動車の所有者が部品の交換時期や価格などについて知識を持っていないのも課題だ。

(問)それらの課題に貴社としてどう取り組もうとしているか。

(答)自動車のアフターマーケットを「Online to Offline」〔オンラインの情報がオフライン(実店舗)の購買行動などに影響を及ぼすこと〕を通してデジタル化しようとしており、そのためのプラットフォームを提供している。当社と提携した整備工場は当社のシステムを通してメーカーから部品を直接調達することができるため、コストを軽減することが可能となった。提携している整備工場は現時点でジャカルタ首都圏の約100件となっている。それらの整備工場は、整備後30日間の保証があるなど標準化されたサービスを提供するため、利用者も安心感を得ることができる。利用者は当社のアプリケーションを通して整備工場へ注文が可能で、利用履歴は記録される。適切なタイミングで修理時期のリマインドを受け取ることもできる。当社は正規ディーラーの保証期間が終了した自動車の保有者をターゲットにしている。

(問)新型コロナウイルスが貴社に与えた影響は。

(答)2019年7月からサービスを開始し、2020年2月には月間の利用者が8,700人に上った。しかし、経済活動制限により、3月から5月は利用者が激減した。6月以降は回復傾向にある。

(問)オープンイノベーションについてどう考えるか。

(答)当社のようなスタートアップが獲得できる情報は、大企業にとっても有益だと考える。例えば、顧客がどのようなアフターパーツを頻繁に交換・修理しているかという情報を自動車会社と共有することで、研究開発(R&D)活動の選択と集中を行うことができる。

(問)日系企業との協業について。

(答)資金提供を受けるよりも、同じミッションを持った日系企業と戦略的パートナーシップを結びたいと考えている。

(上野渉)

(インドネシア)

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