米国最大規模の国際小売り展示会「リテールズ・ビッグ・ショー2021」開催
(米国)
ニューヨーク発
2021年01月28日
全米小売業協会(NRF)が主催する米国最大規模の国際小売り展示会「リテールズ・ビッグ・ショー2021」(会期:1月12~14、19、21~22日)がオンラインで開催された。同イベントは1911年から毎年開かれており、今回で110回目を迎えた。従来は年に1度のイベントだったが、2021年は2つのチャプターに分けられ、1月には「チャプター1」と題した2週にまたがるイベントを開催し、6月には「チャプター2」が開催予定。
今回のイベントでは「共に前進する(FORWARD TOGETHER)」がテーマに揚げられ、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた小売業界においては、新型コロナウイルスと共存するというニューノーマル時代を迎えるだけでなく、この世界的危機から学び、いかに小売業界が未来に向け発展していくかに焦点が当てられた。オンライン会場では、最先端のテクノロジーが披露されたほか、小売業界の専門家が業界の現状や今後の課題について議論する場が設けられた。
基調講演では、NRFのマイク・ジョージ会長が2020年を振り返り、新型コロナウイルスの大流行と社会的混乱に対する小売業界の対応について、感染拡大防止対策としてさまざまな制限措置が講じられる中、小売り各社は消費者の志向の変化と需要を理解し、驚くべき素早さで対応し回復したと指摘した。店舗での購買体験においては、非接触型サービスやカーブサイド・ピックアップ(注1)の早期展開など、消費者が安全かつ迅速に買い物するために、各社とも新たなサービスを導入することで、需要拡大に対応してきたことを評価した。
また、米国内に4,700店舗以上展開する小売り最大手のウォルマートの最高顧客責任者(CCO)であるジェイニー・ホワイトサイド氏は、小売業者はこれまでの「ノーマル」を捨て、変化する消費者行動に対応するためには迅速かつ多様なフルフィルメント(注2)の選択肢を提供する準備が重要だと強調した。新型コロナウイルス感染拡大の状況下、ウォルマートではネット注文された商品の宅配サービスの強化、国内3,000店舗以上でカーブサード・ピックアップの展開など、積極的なオムニチャネル化とデジタル化を推進してきた。ホワイトサイド氏によると、こうした取り組みによって「ピックアップや宅配サービスの5年分の成長が5週間で実現された」と述べた。同氏は先行きについて、一般市民のワクチン接種が進んだとしても、今後、小売業者は実店舗とデジタルショップを活用することで、「顧客中心の体験」に対応し、顧客が選択しやすいように体制を整えることが重要とした。
(注1)消費者がオンラインで注文した商品を、実店舗の駐車場で車から降りることなく受け取れるサービス。
(注2)EC(電子商取引)サイトで顧客が商品を注文してから、手元に届くまでに発生する業務全体のこと。
(樫葉さくら)
(米国)
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