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金融サービス業への同等性は認められず、ロンドン市場にも影響

(英国、EU)

ロンドン発

2021年01月07日

英国経済の支柱である金融サービス業に不透明感が漂っている。英国政府と欧州委員会が12月24日に合意した通商・協力協定(2020年12月25日記事参照)には、金融サービス業の同等性について認める内容の記載はなく、同業界からは失望の声が上がった。

多くの在英金融機関はこれまで「単一パスポート制度」を利用し、EU各国で金融サービスを提供していた。だが、EU離脱の移行期間終了に伴ってその権利が失効することから、フランスやオランダなどのEU側に拠点を設立、もしくは資産や人員を一部移動するなどしてきた。他方、中核業務はカバーされないものの、在英金融機関のEUでの活動を支える重要な要素として、英国政府はEUから同等性評価を得ることを目指していた(2020年6月5日付地域・分析レポート参照)。当初は2020年6月末での合意を目指していたものの、交渉は難航。その後、11月9日には英国がEUを含む欧州経済領域(EEA)内国(注)に対し、一方的に同等性を認めると発表してEU側の承認を促していた。しかし、12月24日の協定合意を受け、英国のボリス・ジョンソン首相は金融サービス分野に対し、「われわれが望むレベルには至っているものではないだろう」と発言(「テレグラフ」紙12月27日)。EU側からの同等性評価は得られなかった。双方は3月までに金融サービス面での相互協力に関する覚書締結を目指すとしているが、これは、国際協定とは異なり、法的な拘束力がないものにとどまるとの懸念の声もある(「フィナンシャル・タイムズ」紙1月6日)。

1月1日以降、EU域内に拠点を設立するなどの対策を事前に講じていない在英金融機関はEU域内の顧客に対し、原則として金融サービスの提供はできない状況にある。こうした英・EU間の金融サービス断絶のリスクヘッジとして、業界はこれまでさまざまな対抗措置を取ってきた。英国金融行為規制機構(FCA)は2020年10月1日、一部主要な業務を除き、英国の新規制への対応を2022年3月31日まで猶予すると発表。また、EU側も9月21日の欧州委員会の発表で、英国を拠点とする中央清算機関(CCP)の利用に関して、EU内の金融市場参加者に対し、2022年6月までの猶予期間を与えるとした(2020年10月12日記事参照)。

2021年初の金融取引が行われた1月4日、EU側が同等性を認めなかったことなどが影響し、60億ユーロ余りのユーロ建てEU株式取引がロンドン市場から流出したと報じられている。同等性がなく、不確実性が高い状況が長期化すれば、ロンドンの国際金融都市としての地位にもさらに影響が広がりかねない。

(注)EU加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン。

(尾崎翔太)

(英国、EU)

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