2020年の固定資産投資、新型コロナ禍でも2桁増に

(シンガポール)

シンガポール発

2021年01月25日

経済開発庁(EDB)の発表(1月20日)によると、同庁が管轄する国内外の企業によるシンガポールの固定資産投資額(FAI、コミットメントベース)が2020年に171億7,100万シンガポール・ドル(約1兆3,393億円、Sドル、1Sドル=約78円)と、前年比13.1%増だった。大型石油化学プラントで過去最高だった2008年以降では、最大の投資額となった(添付資料図参照)。

FAIのうち、分野別では前年と同様、エレクトロニクスと化学が最も多く、それぞれ64億7,500万Sドル、41億1,400万Sドルだった。次いで、研究開発(R&D)のFAIが13億2,800万Sドルと、分野別で3番目に多かった。2020年の主な大型投資案件としては、1月にドイツの化学会社BASFが農薬工場を着工。また、韓国の現代自動車が10月、電気自動車の開発拠点となる「現代自動車グループイノベーションセンター」を着工した。このほか、同10月にスイスの半導体製造会社STマイクロエレクトロニクスが、アルバック(本社:神奈川県)とシンガポール化学技術研究庁(Aスター)との提携によるR&D拠点の設置を発表した。さらに、ドイツ半導体製造会社インフィニオンテクノロジーズは12月に、グローバルAI(人工知能)イノベーション・ハブの設置を発表した。

EDBによると、2020年のFAIが実現した場合に創出される雇用は、1万9352人。このうち45%が製造関連の職種で、24%がエンジニアやAIなどデジタル関連、19%が監査や人事、知財管理など域内のビジネス・商業活動を支える職種となる見通し。

一方、EDBは今後のFAIの見通しについて、前年に発表した中長期的なFAI目標「80億~100億Sドル」を維持した。EDBは2020年から、年ごとの投資予測を発表するのを停止している(2020年1月23日記事参照)。EDBのベー・スワンジン長官は発表の中で、「2021年上半期を警戒しながら迎えているが、新型コロナウイルスの状況が向こう数カ月で安定すれば、2021年下半期には慎重ながらも楽観視できる」と述べた。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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