2019年の固定資産投資、電子と化学の大型追加投資で2桁増に

(シンガポール)

シンガポール発

2020年01月23日

経済開発庁(EDB)の発表(1月16日)によると、同庁が管轄した国内外の企業による対シンガポール固定資産投資額(FAI、コミットメントベース)が2019年に、152億シンガポール・ドル(約1兆2,464億円、Sドル、1Sドル=約82円)と、前年比39.4%増加した。FAIのうち、製造業の投資は109億Sドルで、前年の約2倍になった(添付資料図1参照)。同国経済を取り巻く状況が悪化する中でもFAIが2桁増となったのは、エレクトロニクスや化学の大型追加投資によるものだ。

2019年の主な大型投資案件としては、ドイツ産業ガス会社リンデによるジュロン島での水素・合成ガス生産工場の拡張案件(投資額14億ドル)と、ドイツ化学会社エボニックの同島での家畜飼料添加剤のメチオニンを製造する第2工場の開設(投資額5億ユーロ)。また、米国半導体マイクロン・テクノロジーのフラッシュメモリー工場の拡張工事(投資額未公表)などがあった。

下降トレンドにある日本の対シンガポールFAI

日本の対シンガポールFAIは4億6,000万Sドル(FAI総額の3.0%)と、前年の3億2,000万Sドルを上回った。ただ、日本のFAIはこの10年で下降トレンドにはある。日本のFAIは、10億Sドルを超えていた2009~2011年と比べると、大きく減少している(添付資料図2参照)。

EDBは毎年、翌年の見通しを発表していたが、今回から年ごとの予測を発表するのをやめた。代わりに、中・長期のFAI目標額を「80億~100億Sドル」と設定した。EDBは今後、注力していく分野として、(1)近隣国や国際市場進出拠点としての地位強化、(2)デジタル製品・ソリューションの開発拠点としての役割の深化、(3)新規サービス・ビジネス開発のためのコーポレートベンチャー活動の支援、の3つを挙げた。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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