IMF、アジア新興国地域の2021年経済予測を引き上げ、インドの回復が牽引

(ASEAN、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ)

アジア大洋州課

2021年01月28日

IMFは1月26日、「世界経済見通し(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(2021年1月27日記事参照)で、アジアの新興・途上国地域の2021年の実質GDP成長率を8.3%とする予測を発表(添付資料表参照)。前回発表(2020年10月)よりも0.3ポイント引き上げた。2020年の推計値については、マイナス1.1%と0.6ポイント引き上げ、2022年の予測については5.9%と0.4ポイント引き下げた。

IMFは、アジア含めた新興・途上国地域の2021年以降の経済について、新型コロナウイルスによるダメージからの回復については、各国間の回復の差が拡大すると予測。中でも、効果的な感染拡大防止策と強力な公共投資策などによって力強い回復が促進されている中国と、その他の国々との間で差が大きく広がるとした。特に旅行産業の正常化には時間を要すると予想されることと、原油価格の見通しの低迷により、観光を基盤とする国と石油輸出国では見通しが厳しいものとなっていると指摘した。

アジアの新興・途上国地域の2021年の成長率見通しについて、国別でみると、インドが前回発表から2.7ポイント増の11.5%と、同地域の上昇を押し上げている。IMFは、インドを上方修正した要因について、2020年のロックダウン緩和後の予想よりも力強い回復が、2021年にも引き継がれることを挙げている。

そのほか、各国別では、ASEANについては、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの4カ国の見通しが公表された。成長率は、マレーシアが7.0%(前回発表から0.8ポイント減)と最も高く、フィリピン6.6%(0.8ポイント減)、インドネシア4.8%(1.3ポイント減)、タイ2.7%(1.3ポイント減)と続いた。

(三木貴博)

(ASEAN、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ)

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