BOI、スマートシティ、農産物関連などの恩典の対象拡大・新設を公表

(タイ)

バンコク発

2020年09月15日

タイ投資委員会(BOI)は、国内産業の競争力強化、また新型コロナウイルスからの経済復興のため、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済への投資を促進している。具体的には、バイオエネルギー・バイオ燃料、バイオテクノロジーの研究開発(R&D)、廃棄物・リサイクル、エコ化学品・ポリマーなどの分野の事業に対し、手厚い税制上の恩典を付与している。

こうしたBCG経済に関連し、BOIは7月29日付で布告「投資委員会布告 2/2557に基づく投資奨励対象業種リストの改定(Sor.4/2020)」を公表、農業やスマートシティ開発にかかる恩典の一部を改正し、新たな恩典を追加した。

条件・恩典改正においては、高度技術の使用や国際標準規格の取得を条件としつつ、それらがない場合も(恩典は下がるが)奨励対象とすることで、間口を広げつつ、投資誘致する制度に改正。また、スマートシティ開発では、事業者が環境配慮型のサービスを提供することを必須としつつも、恩典認可に必要な他の要件を一部緩和し、広く投資を誘致する制度に改正した。主な例は以下のとおり(添付資料参照)。

  • 「植物・野菜・果実・花の品質選別・包装・保存」:従来は、高度技術の使用を条件に、一律A2類の恩典を付与。改正後は、コメの品質選別事業では、高度技術を使用すればA2類、しなければB1類の恩典を付与(注1)。
  • 「冷蔵・冷凍倉庫、冷蔵・冷凍運輸」:申請条件に、環境負荷の低い冷媒の使用、またその判断基準としてGlobal Warming Potential(GWP:温暖化係数)などの国際指標の使用を明記。恩典は従来どおりB1類。
  • 「動物用飼料・飼料成分の製造」:従来は、一律B類の恩典を付与していたが、改正後は、ISOやHACCPなどの国際標準規格を取得、トレーサビリティシステムを有する場合はA3~A4類、ない場合はB1類の恩典を付与。
  • 「スマートシティ地域・関連システム開発事業」:従来、7分野のスマートサービス全てを提供する場合はA2類、そうでない場合はA3類の恩典を付与(注2)。改正後は、スマートシティ地域開発では、「スマート環境サービス」の提供は必須としつつ、それ以外の6分野のうち、1つ提供していれば、一律A2類の恩典を付与。関連システム開発事業では、7分野のうち、1つ以上提供していれば、A2類に統一。

また、タイ国内の農産物の品質や生産率の向上を目的とし、以下のとおり、植物工場(Plant Factory)にかかる恩典を新たに追加。

  • 「植物工場」:屋内における植物栽培で、光度・温度・湿度・二酸化炭素(CO2)濃度・ミネラル・害虫などの影響を管理するシステムを有すること、トレーサビリティシステムを有することを条件に、A3類の恩典を付与。

(注1)BOIの恩典は、投資事業における技術レベルなどに応じ、「法人税と機械・原材料の輸入税が免除されるA類」、および「法人税免除はないが、機械・原材料の輸入税が免除されるB類」に大きく分類されている。またA類も、さらにA1~A2(法人税8年免除)、A3(法人税5年免除)、A4(法人税3年免除)に細分類される。

(注2)7つのスマートシステムサービスは、スマートモビリティ(Smart Mobility)、スマート人材(Smart People)、スマート生活(Smart Living)、スマート経済(Smart Economy)、

スマートガバナンス(Smart Governance)、スマートエネルギー(Smart Energy)、スマート環境(Smart Environment)。

(田口裕介、今泉美里)

(タイ)

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