欧州委、不要不急の加盟国間の移動の自粛を提案

(EU)

ブリュッセル発

2021年01月27日

欧州委員会は1月25日、EU加盟国および欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインの間での、移動の自由に関する新たな勧告をEU理事会(閣僚理事会)に提案した。この勧告案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、2020年10月13日付のEU理事会勧告(2020年10月14日記事参照)を改正するもので、多くの加盟国で新規感染者数が減少しておらず、従来の新型コロナウイルスよりも感染力が高いとされる新たな変異種による感染が一部の加盟国で確認されたことを受けたものだ。

同勧告案では、単一市場の機能維持やサプライチェーンの混乱の回避を重視し、国境封鎖や一律での旅行禁止措置を避けるべきとする一方で、あらゆる不要不急の旅行の自粛を求める。

加盟国間の移動でも、一部地域を対象に到着前検査を義務付けへ

また、2020年10月の勧告で導入された、各国の感染状況に基づき、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が実施する加盟国の地域レベルでの色分けに関して、これまでの「緑」「オレンジ」「赤」に加えて、特に感染状況が深刻な地域について、新たに「濃い赤」で示すことを提案。「濃い赤」は、過去14日間の10万人当たりの新型コロナウイルス新規感染者数の合計が500人を超える地域とする。

さらに、「濃い赤」の地域からの渡航に関しては、強く自粛を求めるとし、各加盟国には、同地域からの入国者に対して到着前の検査および入国後の自主隔離の義務化といったより厳格な制限措置の導入を求めている。ただし、居住加盟国への帰国の際には、到着後の検査を認めるべきとしている。また、国境付近の地域の住民については、仕事などで頻繁に越境を伴う移動が必要な場合を考慮し、国境をまたぐ両側の地域の疫学的状況が同じような場合には、隔離や検査を義務付けする必要はないとした。

今後、勧告案はEU理事会で検討され、採択された場合には、各加盟国は同勧告を基に新たな制限措置を決定し、実施することになる。なお、同日、域外国からの入域制限に関する追加措置に関する勧告案も提案された(2021年1月27日記事参照)。

(吉沼啓介)

(EU)

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