2021年の不動産市場、Eコマースとコールドチェーン物流の倉庫需要が拡大見込み

(フィリピン)

マニラ発

2021年01月29日

フィリピンの不動産コンサルティング会社大手サントス・ナイト・フランクは1月27日、業務用倉庫や物流施設への需要の高まりが2021年のフィリピン不動産市場の回復を牽引するとの見解を示した(1月27日付フィリピン国営通信)。同社によると、Eコマース市場の成長や、同国での新型コロナウイルスのワクチン接種プログラム実施に伴うコールドチェーン物流構築に当たり、倉庫への需要増大が見込まれる。

感染拡大に伴い、隔離措置が導入されたことで、フィリピンでは多くの消費者が食料品や生活必需品の購入をEコマース上で行うようになった(1月28日付「フィルスター」)。Eコマース市場が急成長したことで、業務用倉庫への需要拡大が加速したかたちだ。ベイン・アンド・カンパニーや、グーグル、テマセクの調査によると、2020年にフィリピンのEコマース市場の年平均成長率は55%に達し、2020年から2025年までに年間31%の平均成長率を予測する。

また、ワクチン接種については、2月に最初のワクチンが到着し、2021年に5,000万~7,000万人に接種を行うことを計画している(1月27日付フィリピン国営通信)。ワクチンの貯蔵・分配では、国内のコールドチェーン物流体制の構築が急務となっている。政府は国内の製薬会社などと連携し、物流の拡充を進めている。特に、冷蔵施設が十分に設置されていない地方でのワクチン貯蔵は大きな課題となりうる(2020年12月24日記事参照)。

こうした業務用倉庫や物流施設への需要の高まりを受け、既存の不動産が貯蔵施設として再利用される動きが出つつある。例えば、マニラ市のトゥトゥバンモールやケソン市のSMモールでは、保有するスペースを貯蔵場所として再活用しているという(1月27日付フィリピン国営通信)。

(吉田暁彦)

(フィリピン)

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