北部国境地帯の税制インセンティブを4年間延長、南部国境地帯も対象に

(メキシコ)

メキシコ発

2021年01月08日

メキシコ政府は12月30日、連邦官報で政令を公布し、2019年から2年間の時限措置として導入していた北部国境地帯の税制インセンティブ(2019年1月11日記事参照)の適用を2024年末まで延長した。さらに、グアテマラおよびベリーズとの国境地帯に対しても、同様のインセンティブを付与する政令を同日付で公布した。

北部国境地帯の税制インセンティブは、法人所得税(ISR)を通常の30%から20%に引き下げる措置のほか、付加価値税(IVA)を通常の16%から8%に減額することで消費を活性化する措置から成る。今回の政令では適用期限延長に加え、手続きの簡素化も盛り込まれている。ISRのインセンティブ享受のためには「北部国境地帯インセンティブ受益者登録簿」への登録が必要だが、従来は国税庁(SAT)の承認も必要だった。今回の改正により、SATの承認は不要となり、届け出のみで済むこととなった。ただし、届け出の有効期限は1年で、毎年3月31日まで更新の届け出が必要。また、受益者は毎年、同インセンティブの適正な運用に関するSATの検証プログラムに協力する必要があるが、従来は年に2回の検証が行われていた。これを年に1回に減らす。

これ以外については大きな変更はなく、受益者の条件も変更されていない。ISRのインセンティブについては、ISR法第181~183-Bis条を適用して、外国居住者に所有権がある資産を基に保税受託加工(マキラドーラ)オペレーションを行う法人は依然として受益者にならない。北部国境地帯の製造業の大半がマキラドーラオペレーションを実施しているため、同インセンティブは製造業においては実質的に機能していない。IVA半減のインセンティブについては、貨物・旅客の輸送業が同インセンティブを適用する場合、輸送の起点と終点が双方とも北部国境地帯で、さらに対象地域外で積み降ろしを行わないことが条件、と明文化された。

南部国境地帯の23市町村にも同様のインセンティブ

南部国境地帯のインセンティブは、北部国境地帯に対するインセンティブと同じ内容だ。適用可能な市町村は4州の23市町村で以下のとおり。

  • キンタナロー州:オソン・P・ブランコ(チェトゥマル)
  • チアパス州:オコシンゴ、ベネメリト・デ・ラス・アメリカス、マルケス・デ・コミージャス、マラビージャ・テネハパ、ラス・マルガリータス、ラ・トリニタリア、フロンテラ・コマルパ、アマテナンゴ・デ・ラ・フロンテラ、マサパ・デ・マデロ、モトシントラ、タパチュラ、カカオアタン、ウニオン・フアレス、トゥクストラ・チコ、メタパ、フロンテラ・イダルゴ、スチアテ
  • カンペチェ州:カラクムル、カンデラリア
  • タバスコ州:バランカン、テノシケ

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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