メキシコ北部の米国境地帯における減税策を施行

(メキシコ)

メキシコ発

2019年01月11日

メキシコ政府は2018年12月31日、連邦官報で北部国境地帯における減税を定める大統領令を公示し、翌2019年1月1日に施行された。同令は、北部国境地帯開発プロジェクトの一環として、法人所得税(ISR)税率を30%から20%に引き下げ、付加価値税(IVA)税率を16%から8%へ引き下げることにより、同地域の経済活性化と雇用の増加を図るもの。同じく1月1日に施行された、一般最低賃金の引き上げ(2019年1月9日記事参照)と併せ、米国への移民流出の抑制を狙う。

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は「IVA税率の引き下げにより、ガソリンなどの燃料価格が米国南部の州とほぼ同等となることで、北部国境地帯の国際競争力が増す」とコメントしている。しかし、ガソリンやディーゼルに対する生産・サービス特別税(IEPS)の増収で補うと予定されているため、同地域のガソリン価格は米国南部と同等にはならないとの指摘もある(「レフォルマ」紙2018年12月30日)。今回の減税策の対象地域は、米国との3,180キロの国境から25キロ南下した範囲にわたる(表参照)。

表 北部国境地帯減税策が適用される地域

税控除の適用には事前の申請が必要

企業が大統領令により税控除の適用を受けるためには、事前の申請が必要となる。ISRについては、同地域における売上高が全国の90%以上であること、同地域において18カ月以上の操業実績があることを示すことが条件とされる。新規に事業を立ち上げる場合には、同地域で新規に固定資産を取得すれば、適用対象となる。また、本社が同地域にない場合でも、支店などがあれば、その売上高について税控除を申請できる。なお、金融・保険業、士業、人材派遣業、農業、畜産業、漁業、林業のほか、所得税法第181条および第182条に基づき課税所得を算出するマキラドーラオペレーションを行う事業者については、適用の対象外。IVAについても、事前の登録が必要で、申請期限は2019年1月30日となっている。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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