10月の貿易黒字額、輸入減で2020年内の単月で最大に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年12月01日

インドネシア中央統計庁(BPS)は11月16日、10月の貿易統計を発表した。それによると、輸出入はともに前年同月比で減少したものの、輸入額の減少が大きかったため、2020年内の10月までの単月の貿易黒字額が最大を記録した。貿易収支は36億680万ドルの黒字で、前月比50.9%増加した。

品目別にみると、輸出は3.3%減、輸入は26.9%減となり、輸入額の落ち込みが著しくなっている(添付資料表参照)。輸出では、前年同月比で動植物性油脂(26.1%増)、電気・電子部品(13.2%増)、宝石類(8.2%増)が増加した。輸入では、全ての項目で下落した。前月比でみると、輸入全体の約7割を占める原材料・副資材が5%減少し、今後の国内製造・生産への影響が懸念される。

非石油・ガスの相手国別の輸出額は、中国(3.4%増)と米国(6.8%増)は前年同月比で増加しているものの、日本(14.4%減)、インド(13.0%減)、シンガポール(21.7%減)など、他の主要相手国で減少した。輸入は主要相手国で減少した。最大の貿易相手国の中国からの輸入は29.5%減の27億9,810万ドル、続く日本は49.3%減の7億3,130万ドルだった。中国からの輸入が前月比でも20.2%減と大きく減少した結果、中国との貿易収支は6,220万ドルの黒字となった。1~10月の貿易収支では、対中貿易赤字が続く。

インドネシア経済改革センター(CORE)エコノミストのムハマド・ファイサル氏は「2020年の貿易黒字が不健全だと考えられるのは、輸出増加ではなく、生産性の高い品目の輸入減少が要因となっているためだ」とし、「2021年にかけて国内経済が回復すれば、それに従って輸入が大きく伸びる。来年の貿易黒字額は縮小するだろう」と予測している(「ベリタ・サトゥ」紙11月18日)。併せて、輸入品を国内品で代替しようとする動きも強まっている。工業省は今後2年間で3兆6,000億ルピア(約262億8,000万円、1ルピア=約0.0073円)の輸入削減、輸入代替率35%を目標としている。目標達成のため、産業構造高度化と、原材料および生産の独立性の確保、国内原材料の利用促進などの戦略に取り組むとしている(CNNインドネシア11月19日)。

(デシ-・トリスナワティ、尾崎航)

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