イスラエルとモロッコ、国交正常化へ
(イスラエル、モロッコ、アラブ首長国連邦)
テルアビブ発
2020年12月15日
12月10日付のイスラエル紙は、モロッコがアラブ首長国連邦(UAE)とバーレーン、スーダンに続き、イスラエルとの国交正常化に合意したと、米国のドナルド・トランプ大統領が声明で発表したと報じた。翌11日付の米ホワイトハウスの発表では、イスラエルとモロッコがテルアビブとラバトの駐在員事務所を再開し、相互交流を開始するとしたほか、米国が西サハラにおけるモロッコの領有権を認め、近く同地域に領事館を設置する予定という。イスラエルとモロッコは、オスロ合意を受けた1990年代にはハッサン前国王の主導により事実上の大使館をイスラエルに設置するなど、一定程度の外交関係を構築していたが、第2次インティファーダ(注)発生後の2000年代以降、公式な関係性は凍結されてきた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はトランプ大統領の声明を受けたかたちで、デービッド・フリードマン駐イスラエル米国大使とともに出席したイスラエルの一大祭事「ハヌカ」の点灯式の場でコメントを発表し、トランプ大統領への深い感謝を表すとともに、モロッコのモハメッド6世国王への謝辞を述べた。同首相は、歴代のモロッコ国王と国民がモロッコ国内のユダヤ人コミュニティーに対して友好的な姿勢を保ってきたことや、多くのユダヤ系モロッコ人がイスラエルに往来して人的な関係性を構築してきたことなどが今回の国交正常化の基盤になったとした。
前述のイスラエル紙の報道によると、モハメッド6世国王は声明を発表し、2国間に直行便を就航させ、ユダヤ系モロッコ人やイスラエル人観光客の往来を活発にすること、イスラエルとの公式な2国間関係、外交関係を速やかに回復すること、経済やテクノロジー分野の関係を発展させることに取り組むと述べた。
関係国の反応として、先にイスラエルとの国交を正常化したUAEは、アブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子がモハメッド6世国王と12月10日に電話協議を行い、米国によるモロッコの西サハラ領有権を認める姿勢と、イスラエルとの国交正常化合意を歓迎したと伝えた〔12月11日付UAE国営エミレーツ通信社(WAM)〕。
(注)2000年に発生したイスラエルに対するパレスチナ住民の大規模な抗議活動。
(吉田暢、田辺直紀)
(イスラエル、モロッコ、アラブ首長国連邦)
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