天津市、「社会信用条例」を発表、生体情報の収集を禁止

(中国)

北京発

2020年12月11日

天津市人民代表大会は、12月1日の常務会議で「天津市社会信用条例」を可決した。2021年1月1日から施行される。同条例は社会信用情報の管理、信用順守主体への奨励措置と信用失墜主体への懲戒措置、個人・企業・各種組織など信用情報主体の権益保護、信用評価サービス業発展の促進、社会信用環境の建設などについて規定し、8つの章と66の条文から構成されている。

中国では、2014年6月に発表された「社会信用体系建設計画綱要外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2014~2020年)」に基づき、多分野にわたって信用システムの整備が進められてきた。天津市は今回の条例の立法により、信用に対する監督管理を強化し、社会全体の信用に関する意識・信用力を向上させ、ビジネス環境の改善や質の高い発展に寄与するとした。

同条例では、信用情報の収集に当たって、個人の宗教、血液型、疾病、生体識別情報および法律や規則で収集が禁止されているその他の個人情報を収集してはならない、と明記された。また、事前に告知し本人の同意を得ることがなければ、個人の収入、貯金、債券、商業保険、不動産、納税額などの情報を収集することも禁じられた。

本条例の背景には、全国レベルでの個人情報保護強化に向けた動きがある。「個人情報保護法草案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は2020年10月21日に公表され、パブリックコメントを11月19日まで募集した。同草案では、個人情報の収集、保存、移送、公開などの取り扱いについてルール化しており、個人情報の保護に向けた法整備が進んでいる。さらに、11月26日に開かれた国務院常務会議では、信用情報の漏えい、改ざん、毀損(きそん)、窃取および不法な収集・売買に対する取り締まりを厳格化し、情報安全とプライバシーの保護を強化し、社会信用システムの健全化を進めることが決定された。

天津市以外の地域でも、個人情報の保護を強化する動きがみられる。浙江省杭州市では、10月に審議された「杭州市不動産管理条例(改正案)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」において、公共設備の使用に当たり、個人を識別可能な生体情報を取得することができる顔認証や指紋認証などを強制してはならない、と定められた。また、安徽省、甘粛省蘭州市、北京市などの「不動産管理条例」においても、個人情報の保護について明文化されている。

(張敏)

(中国)

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