新型コロナ用ワクチンを12月24日から接種開始

(メキシコ)

メキシコ発

2020年12月25日

メキシコ市国際空港に12月23日、米国ファイザー製の新型コロナウイルス感染症用のワクチンが到着した。メキシコ政府が同社から調達した141万7,659回分のうちの3,000回分が到着し、翌24日からメキシコ市内で新型コロナウイルス感染患者の治療に当たる医療従事者を対象に、ワクチンの接種を実施。残りの調達分は2021年1月31日までに入荷される予定で、メキシコ市とコアウイラ州などで医療従事者を対象に接種が開始される。

ワクチンの到着には、マルセロ・エブラル外相、ホルヘ・カルロス・アルコセル・バレラ保健相、アルトゥーロ・エレーラ大蔵公債相、ルイス・クレセンシオ・サンドバル・ゴンサレス防衛相らの要人が同空港で立ち会った。エブラル外相は「メキシコは世界で最初に新型コロナウイルスワクチンを入手した10カ国のうちの1つとなった」とし、ワクチンはメキシコ国内にいる誰もが無料で接種可能となることを強調した上で、「われわれが途方もない感染症拡大の渦中にいることは確かだが、今日がその終息の始まりとなる」と述べた。

エレーラ大蔵公債相は、新型コロナウイルス用ワクチンを購入するために確保した予算は約330億ペソ(約1,716憶円、1ペソ=約5.2円)に上り、さらに接種関連費用として13億ペソを見込んでおり、「新型コロナウイルス用ワクチン関連費用を保証することが何よりも優先される」とし、「必要があれば予算を積み増すことが可能」と述べた(「エル・エコノミスタ」紙12月23日)。なお、連邦政府が発表した同ワクチンの接種計画によれば、以下の5段階で接種が進められる。

  1. (2020年12月~2021年2月):新型コロナウイルス感染患者の治療に当たる医療従事者
  2. (2021年2月~4月):その他の医療従事者および60歳以上の者
  3. (2021年4月~5月):50~59歳の者
  4. (2021年5月~6月):40~49歳の者
  5. (2021年6月~2022年3月):上記以外の者

中銀副総裁は新型コロナウイルス感染の再拡大による経済減速を見込む

国立統計地理情報院(INEGI)は12月23日、2020年10月のグローバル経済活動指数を、季節調整済み前月比1.6%増と発表した。鉱工業を含む第二次産業が2.0%増と全体を牽引し、第一次産業が0.8%増、第三次産業が0.7%増となった。同指数は2020年6月以降、5カ月連続で前月比プラスを維持している。メキシコ中央銀行のヒース副総裁は同発表内容を自身のツイッターで取り上げ、「(各州で)新型コロナウイルス警戒信号が『赤』に後退したことにより、2020年12月と2021年1月の同指数の伸び率はマイナスに転じるだろう」との見方を示した。

メキシコでは新型コロナウイルス感染の再拡大により、2020年12月23日現在でメキシコ市、メキシコ州、バハカリフォルニア州が新型コロナウイルス警戒信号について最も警戒が必要な「赤」となっており(2020年12月21日付記事参照)、州独自の判断により、モレロス州は12月25日から、グアナファト州は12月28日から赤信号に移行するなど、各地で経済活動の制限を含む規制が強化されている。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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