文大統領、デジタル・グリーン社会への転換に向けた方向性表明

(韓国)

ソウル発

2020年12月25日

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は12月17日に開催された「2021年経済政策方向報告会」で、2020年の韓国政府の防疫や経済の取り組みを総括し、2021年の経済政策の方向性を示した。

文大統領は冒頭発言で、2020年の韓国経済の最大の成果は「大韓民国」という名の価値を高めたこととし、新型コロナウイルス感染拡大に対する「K-防疫」がその基盤になったと述べた。保健医療や文化、外交など韓国のソフトパワーが大きくなるにつれ、「メード・イン・コリア」は魅力ある商品となったと評価した。また、2021年は速やかな予算の執行と新型コロナウイルスワクチンの迅速な普及、感染再拡大によって被害を受けた人々への支援を迅速に実施しなければならないとした。

経済政策については、2021年を韓国経済大転換の年とし、「迅速かつ強力な経済回復」と「先導型経済への大転換」をスローガンに、低炭素経済や非対面・デジタル経済への転換が急務だとした。2020年に発表した韓国版ニューディール政策については、具体的な成果の達成を目指し、財政・金融など政策手段を総動員して、国民生活と経済の確実な回復を成し遂げるとした。

今回の報告会に合わせて「2021年経済政策の方向性」が決定され、各省庁の重点施策が公表された。産業・通商分野で産業通商資源部が取り組む施策は以下のとおり。

  1. 貿易金融の支援、輸出企業の障害の解消などを通じた輸出活力の創出
  2. 経済波及効果の大きいUターン企業向けを中心とした支援制度の改編
  3. 企業活力向上のための事業再編支援の強化
  4. スマートグリーン産業団地の拡大と経済自由区域の機能強化
  5. 産業競争力強化のため、エコフレンドリー化やデジタル化の加速
  6. 革新的成長産業(半導体・バイオ・未来車)の育成
  7. 素材・部品・機器の競争力強化とグルーバルサプライチェーン再編への対応
  8. 韓国版ニューディールの推進とカーボンニュートラルへの対応
  9. 国際通商秩序の再編への主導的参画と自由貿易協定(FTA)の活用拡大
  10. 産業連携強化のための経済主体間の連携・協力の拡大

(当間正明)

(韓国)

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