第3四半期GDP成長率、前年同期比マイナス3.9%、工業セクター回復も「新型コロナ前」の水準に届かず

(ブラジル)

米州課

2020年12月24日

ブラジル地理統計院(IBGE)は12月3日、2020年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を発表した(添付資料表参照)。前期比(季節調整済み)では7.7%成長したが、前年同期比ではマイナス3.9%となった。

産業別の成長率を前年同期比でみると、農畜産業が0.4%、工業がマイナス0.9%、サービス業がマイナス4.8%となった。

農畜産業がプラス成長した要因として、IBGEは特定の農産物が好調だったことを挙げている。特に、生産量が増加したコーヒー(21.6%増)、サトウキビ(3.5%増)、綿花(2.5%増)、トウモロコシ(0.3%増)が成長を牽引し、畜産業と水産業の不振を補った。

工業では、電気・ガス・上下水道・都市清掃は3.8%増、鉱業は石油・ガスの抽出量の増加等により1.0%増となったが、新型コロナウイルス感染拡大防止措置が実施された際に生活必需産業に指定されなかった建設業が7.9%減、製造業も0.2%減だった。

サービス業はマイナス4.8%だった。その他サービス(14.4%減)と運輸・倉庫・郵便(10.4%減)が押し下げ要因となった。ほかにも、行政・衛星・公共教育(5.4%減)、商業(1.3%減)、情報サービス(1.3%減)も減少した。一方、金融仲介・保険(6.0%増)と不動産(賃貸業を含む)(2.7%増)は増加した。

需要要素別(前年同期比)にみると、消費(民間・政府)、投資(総固定資本形成)、輸出入とも全てマイナスとなったが、とりわけ、財・サービス輸入は25.0%減と大幅に減少した。GDPの計算上、控除項目となる財サービス輸入の減少は短期的にはGDP全体を押し上げる。そのため、第3四半期のGDP成長率はマイナス3.9%と小幅なマイナスにとどまったが、輸入された財サービスはいずれ消費や投資に反映されていく。輸入の大幅減が次の第4四半期(10~12月)以降の投資と消費に与えるマイナスの影響が懸念される。

(高氏朋佳)

(ブラジル)

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