北京市、新卒の介護施設就業を奨励、最大6万元を支給

(中国)

北京発

2020年12月03日

北京市民政局、財務局など5部門は11月27日、「北京市養老サービス人材育成研修実施弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、弁法)」を発表した。

弁法は、新規卒業者で介護施設に入社し介護サービスに従事する者に対する「入職奨励金」、および介護サービス従事者に対する「在職補助金」について規定したもので、介護人材が不足している中、金銭面でのインセンティブを設けることで、高齢者サービス業への就業促進を強化する。

「入職奨励金」の支給額は、大学学部以上の学歴を有する卒業生は6万元(約96万円、1元=約16円)、大学専科(日本の短期大学に相当)および高等職業学校の卒業生が5万元、中等職業学校の卒業生が4万元と定められ、本人の銀行口座に区民政局から支払われる。入職1年経過後に3割、翌年に3割、3年目に4割が支給される。

「在職補助金」の支給額は、介護サービス従事者の技能等級に基づき毎月500~1,500元で、給与とは別に扱われるものとし、支給額分を本来の給与などから減額してはならない、と明確に定められた。

また弁法では、「養老護理員職業技能研修」と「養老サービス人材能力向上研修」の2つの研修制度を設けることも規定された。いずれの研修も、受講者が所定の研修を修了し、合格証明を取得した場合、合格者1人当たり1,500元が人材育成機関に対して支給されるもので、介護サービス人材の技能レベル向上に資する優良な研修プログラムの実施を奨励する。

2019年末時点の北京市在住60歳以上の高齢者人口は約371万人で、2020年6月時点で市全体の介護施設は544カ所、社区養老サービスステーションは1,005カ所となっている。北京市民政局の李紅兵副局長は、現在在職中の養老護理員は約9,000人で、うち30歳以下は14%にとどまっており、50歳代半ばの人材が多い、と述べている。

弁法は2021年1月1日から施行され、実施期間は5年間としている。2011年に発表された「養老護理員育成管理に関する通知(京民福发〔2011〕489号)」は、同時に停止となる。

(唐澤和之)

(中国)

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