ボッシュ、工場限定で5G環境を初導入

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年12月07日

ドイツの自動車部品・電動工具メーカーのボッシュは11月26日、ドイツ南西部のシュトゥットガルト・フォイエルバッハにある工場で、同社初の第5世代移動通信システム(5G)「キャンパスネットワーク(5G Campusnetz)」が稼働すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。高速通信環境を活用し、インダストリー4.0の実現を目指す。

キャンパスネットワークとは、5Gのうち、利用範囲を地理的に限定するいわゆるローカル5Gと呼ばれるもので、地域のとりわけ産業用通信に適したネットワークを指す。フォイエルバッハ工場はキャンパスネットワーク導入で、通信速度が4Gに比べ最大20倍に向上する。高速通信環境を生かし、機械同士が直接、瞬時にデータをやり取りすることなどに活用する。ボッシュが2019年のハノーバーメッセでプロトタイプを発表した自動搬送ロボット「ActiveShuttle」も同工場に導入する。

フォイエルバッハ工場へのキャンパスネットワーク導入に当たって、ボッシュはノキアと連携した。ボッシュで5G導入を担当するアンドレアス・ミュラー氏は最初の導入先にフォイエルバッハ工場を選んだ理由として、(1)国内最大級の工場の1つであること、(2)社内の研究機関や関連企業が近くに立地していること、(3)インダストリー4.0の先駆的工場であることを挙げている。

ミヒャエル・ボレ最高デジタル責任者(CDO)兼最高技術責任者(CTO)は今回の導入について、「5Gはわれわれの競争力を高め、インダストリー4.0の可能性をさらに広げる」とし、「世界中の250の工場に5Gを順次展開していく」とコメントした。同社はフォイエルバッハ工場に続き、シュトゥットガルトの西約20キロに位置するレニンゲンにある研究施設にも数カ月内にキャンパスネットワークを導入予定だ。

割り当て開始から90社・機関以上が申請

キャンパスネットワークの周波数帯は3.7ギガヘルツから3.8ギガヘルツ(2019年6月24日記事参照)。利用を希望する企業・機関がドイツ連邦ネットワーク局に申請、割り当てられる。割当費は通信帯の利用範囲や期間、適用面積、場所などを加味した一定の計算式で決定する。2019年11月から申請が可能となっており、2020年11月13日時点で93企業・機関が申請、うち88企業・機関に割り当てられている。

割り当てを受けた企業・機関のうち、公表に同意した企業・機関は連邦ネットワーク局のウェブサイトで公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている。11月13日時点で51企業・機関が公表されており、企業(自動車・機械・化学など)、見本市会場、報道機関、通信会社、研究機関・大学など多岐にわたる業種の企業・機関が割り当てを受けている。日系企業では、NTTデータの在ドイツ子会社が含まれている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

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