米FRB、金融政策の現状維持を決定、資産購入に関する追加の指針も導入

(米国)

ニューヨーク発

2020年12月17日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は12月15、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、金融政策の現状維持を決定するとともに(添付資料図参照)、米国債などを月1,200億ドル購入している現状の量的緩和策に関して、「雇用最大化と物価安定が達成されるまで」資産購入を続けるとした。政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は0.00~0.25%に据え置いている。今回の決定も前回と同様、全会一致だった。

雇用最大化と物価安定が達成されるまで資産購入を継続

FOMCの声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、米国経済全般の状況判断について、前回会合と同じく「経済活動と雇用の回復は続いているものの、年初の水準を依然として大幅に下回っている」と指摘した。経済見通しに関しては、成長率の下方リスクが高いと考える参加者は、前回9月から減少しており、楽観的な見通しが示されている。

今回の声明文では、「FOMCが見込む雇用の最大化と物価安定に向けてさらなる大きな前進を遂げるまで、FRBは国債保有を少なくとも月800億ドル、ローン担保証券の保有を少なくとも月400億ドル引き続き増やす」と新たに明記し、「雇用最大化とインフレ率が中長期的に2%を超えるところで軌道に乗るまで」としているFF金利の誘導目標と同様に、資産購入に関しても指針を明確化した。

ジェローム・パウエルFRB議長は記者会見で、「雇用最大化と物価安定が達成されるまで資産購入を続ける。それが強力なメッセージだ」と述べる一方で、資産購入変更の目安となる雇用や物価についての具体的な水準について「正確な数字を伝えることはできない」として、明言を避けた。

今回の決定では、一部で予想されていた資産購入量や購入期間に関しての変更はなかったが、ユニクレジットのチーフエコノミスト、ダニエル・バーナッザ氏は「FRBはイールドカーブ(利回り曲線)をフラットにして、より貸し出しを促していくために、今後はより長期の債券を購入していくのではないか」と述べている(「インベスターズ・ビジネス・デイリー」12月16日)。

(宮野慶太)

(米国)

ビジネス短信 99788d7cecd715d4