シンガポール、12月28日から経済活動再開の最終段階に移行

(シンガポール)

シンガポール発

2020年12月17日

シンガポールのリー・シェンロン首相は12月14日、国民に向けたテレビ演説で、12月28日から経済活動再開の最終段階である第3段階(フェーズ3)に移行すると発表した。フェーズ3への移行により、私的な集会の人数の上限が現行の5人から8人へと緩和される。

シンガポールでは新型コロナウイルス感染防止のため、4月7日から6月1日まで必須サービスを除く職場閉鎖「サーキットブレーカー」を実施し、6月2日から3段階に分けて経済活動を再開している。6月19日から第2段階(フェーズ2)に移り、10月20日に第3段階に向けたロードマップ(行程表)を発表していた(20202年10月23日記事参照)。新型コロナウイルスの政府タスクフォースによると、私的な集会の人数制限のほか、ショッピングモールや大型店舗の人数制限や、観光アトラクションの収容人数、宗教的な集会、結婚式、芸術・文化関係のイベントの人数制限も緩和する(注)。

2021年第3四半期までに、国内全員分のワクチンを確保

また、リー首相は新型コロナウイルスのワクチンを確保する見通しについて、「計画どおりに進行すれば、国内の全員分のワクチンを2021年第3四半期までに確保できる」と述べた。同首相によると、米国製薬会社ファイザーとドイツのビオンテックの共同開発による新型コロナウイルスのワクチンが12月中にも到着する。保健省管轄下のヘルスサイエンス庁(HAS)は同日、16歳以上を対象に同ワクチンの緊急使用を許可したと発表した。このほか、米国モデルナのワクチンと、中国の科興控股生物技術(シノバック)も順次、2021年以降に投入される予定だ。

ワクチンは、国民および長期滞在の外国人全員に対して無償で提供する。ただ、ワクチン接種は強制ではなく、任意とする。医療従事者、新型コロナウイルス対策に当たる従事者、高齢者など健康上のリスクのある人に対して優先的に接種を行う。具体的なワクチン投与の戦略については、専門家委員会が近く発表する予定。

保健省によると、12月14日の新型コロナウイルスの新規感染者は5人で、全員が国外からの渡航者だった。シンガポールでは11月以降、国内での市中感染者が0~1人の状況にある。

(注)フェーズ3への移行に伴う商業施設、宗教施設やイベントの人数上限の緩和については、保健省の12月14日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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