英国、ファーウェイ排除のロードマップ発表、5G通信網ではNECと協力

(英国、中国、日本)

ロンドン発

2020年12月07日

英国政府は11月30日、国内の第5世代移動通信システム(5G)網向けの設備で、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)を含む高リスクベンダーの製品を排除するためのロードマップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。今後、5G網を対象に国内の通信事業者によるファーウェイ機器の導入を2021年9月末以降は禁止し、さらにその後の5G供給事業者の多様化のため、2億5,000万ポンド(約350億円、1ポンド=約140円)を充てる。

政府は7月14日に国内でのファーウェイ機器の排除を2027年末までに完了させると発表していた(2020年7月21日記事参照)。さらに11月24日には、国内の通信網セキュリティー強化を目的とした新法案を国会に提出。電気通信・放送などの監督機関に通信網供給者のモニタリング義務を課すほか、通信事業者などが安全性にリスクを抱える事業者・サプライヤーを使用するなどした場合、最大で売上高の10%、または1日10万ポンドの罰金を科すことなどを盛り込んだ。

今回併せて発表した「5Gサプライチェーン多様化戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」には、国立通信研究所の新設のほか、日本の大手電機メーカーNECとの共同実験の実施が含まれる。政府のガイダンスによると、現在世界における2G、3G、4G通信網供給者の割合はフィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソン、中国のファーウェイで8割を占めており、英国内の通信事業4社(ボーダフォン、EE、O2、スリーUK)も同様に上記3社が主なネットワーク供給元となっている。政府はファーウェイ排除後、ノキア、エリクソン2社への依存を避け、潜在的な新規事業者の市場参入を促進したい考えだ。その初期段階として、通信網供給事業者の機器の相互運用を可能にする技術「オープン・ラン(Open RAN)」導入のため、日本でこの技術の大規模な運用経験を持つNECと協力し実証実験を行う。NECは11月19日、英国に事業開発拠点「Centre of Excellence」を設立し、今後の5Gのグローバル展開の加速に向けて体制を強化することを発表していた。同社はこの実験で160万ポンドの政府支援を受け、2021年中に英国内で初期プロジェクトの稼働を目指す。

(杉田舞希)

(英国、中国、日本)

ビジネス短信 95e373896e4b12fc