行政運営効率化に向け、省庁・企業支援機関の体制見直し

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年12月01日

ロシア政府が行政運営の効率化や国家目標の達成のために、省庁や企業支援機関の体制見直しを進めている。ウラジーミル・プーチン大統領は11月20日、連邦報道・マスコミ庁と連邦通信庁の廃止に関する大統領令に署名した。加えて、ミハイル・ミシュスチン首相は11月23日に企業支援を行う政府機関の再編案を発表している。

連邦報道・マスコミ庁はマスメディアに対する支援や資産管理などを行い、連邦通信庁は電気通信や郵便分野の支援や資産管理を担っているデジタル発展・通信・マスコミ省の所管官庁。大統領令によると、両庁の廃止はデジタルや通信・マスコミ分野の国家管理の改善、デジタル経済分野の優先課題の解決、行政障壁の削減、官庁の権限と職員数の最適化のためと説明している。両庁は6カ月以内に廃止され、機能はデジタル発展・通信・マスコミ省に移管される。

ミシュスチン首相は11月16日に開催された副首相との会合で、「新型コロナウイルス禍」で露呈した行政運営面の課題解決に向けて省庁体制の最適化を図るべく、連邦機関数を5%、連邦機関の地方支所数を10%削減する方針であることを明らかにした。高級紙「イズベスチア」(11月16日)によると、今回の改革の発端となったのは、新型コロナウイルス感染症患者の対応に追われる医療従事者への手当支給に関する法令の解釈をめぐり、連邦機関とその地方支所が迅速に対処できなかったことに起因していると解説している。

加えて、ミシュスチン首相は11月23日に、連邦レベルの企業支援機関のあり方が現在の国家目標の達成にそぐわなくなっているとし、支援機関を大幅に整理する意向を表明した。具体的には、開発金融機関VEB.RFを核とする投資ブロックを形成し、中小企業・起業家育成・支援、輸出促進、製造支援を行う8つの団体(注1)の運営を移管すること、機能が重複している国有企業・団体を統合すること(注2)などの方針を明らかにしている。

(注1)中小企業発展公社、ロシア輸出センター、ロシア輸出ローン・投資保険エージェンシー(EKSAR)、ロスナノ、スコルコボ基金、科学技術分野小規模企業発展協力基金(イノベーション協力基金)、工業発展基金、インフラ・教育プログラム基金

(注2)VEBリージングと国家輸送リース会社(GTLK)が合併した「統一リース会社」の創設、ロシア・ベンチャー会社のロシア直接投資基金への吸収など5機関の統合に言及している。

(齋藤寛)

(ロシア)

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