米カリフォルニア州、病床逼迫で新たな基準の自宅待機令を発令

(米国)

サンフランシスコ発

2020年12月09日

米国カリフォルニア州は12月3日、地域単位で適用する自宅待機令(Regional Stay at Home Order)を発表した。これはICU(集中治療室)病床の空き率に基づいて特定される地域を対象とし、5日午後0時59分から有効。ICU病床の空き率が15%未満となった地域は、評価の24時間後に自宅待機令が少なくとも3週間適用される。公衆衛生局の今後4週間の予測が15%以上になった場合に適用外となる。適用外となった地域内の各郡は8月から実施している経済再開の規制を適用する(2020年9月8日記事参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

カリフォルニア州では新型コロナウイルス感染拡大を受けて、限定的な自宅待機命令(Limited Stay at Home order)を実施中だ(2020年11月20日記事参照)。今回の自宅待機令は、日常生活やビジネス活動により制限をかける内容となる。ギャビン・ニューサム知事は11月30日の会見で、ICU病床が逼迫することを予想し、それに対応する措置を取るべきとしていた。

同州全体を北カリフォルニアなど5つの地域(注1)に分けて状況を管理する。空き率が15%未満のサンホアキン、南カリフォルニアでは、6日午後11時59分から同命令の適用を開始した(注2)。また、ベイエリアは15%以上であるものの、その中のアラメダ郡など(注3)は4日、州の措置を待つ前に自発的に自宅待機を実行することを共同発表した。サンフランシスコなど多くの郡は12月6日から実施を開始した(注4)。郡独自の自宅待機は2021年1月4日までの予定。

今回の自宅待機令の主な規制内容は次のとおり。

  1. 他の世帯との全ての集まりは原則禁止
  2. 重要なインフラ部門(注5)のオペレーション、維持、使用に関連した必要な活動を実施する以外、自宅または居住場所に待機
  3. 屋内の娯楽施設、美容室・理髪店、ワイナリー、バーなどは閉鎖
  4. リモート勤務ができない重要なインフラ部門以外はリモート勤務のみ
  5. レストランはテークアウトやデリバリー利用のみ
  6. 小売りやショッピングセンターの屋内営業は収容可能人数の20%
  7. ホテルなどの宿泊施設は、原則、重要なインフラ部門の支援などを目的とした利用のみ

(注1)各地域に含まれる郡は以下のとおり。

  • 北カリフォルニア:デルノルト、グラン、ハンボルト、レイク、ラッセン、メンドシーノ、モドック、シャスタ、シスキュー、テハマ、トリニティ
  • ベイエリア:アラメダ、コントラコスタ、マリン、モントレー、ナパ、サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ、サンタクルーズ、ソラノ、ソノマ
  • サクラメント広域圏:アルパイン、アマドア、ビュート、コルサ、エルドラド、ネバダ、プラサー、プルマス、サクラメント、シエラ、サッター、ヨロ、ユバ
  • サンホアキン・バレー:カラベラス、フレズノ、カーン、キング、マデラ、マリポサ、マーセド、サンベニート、サンホアキン、スタニスラウス、トゥーレアリ、トゥオルミ
  • 南カリフォルニア:インペリアル、インヨー、ロサンゼルス、モノ、オレンジ、リバーサイド、サンバナディーノ、サンディエゴ、サンルイスオビスポ、サンタバーバラ、ベンチュラ

(注2)12月7日カリフォルニア州公衆衛生局発表の各地域のICU病床の空き率は以下のとおり。北カリフォルニア:28.2%、サクラメント広域圏:20.3%、ベイエリア:25.7%、サンホアキン・バレー:6.3%、南カリフォルニア:10.9%

(注3)コントラコスタ郡、マリン郡、サンフランシスコ郡、サンタクララ郡、バークレー市

(注4)アラメダ郡は12月7日、マリン郡は12月8日から実施予定。

(注5)必要不可欠なインフラ部門は、医療関係、緊急サービス部門、食品・農業、エネルギー、上下水道、輸送・物流、情報通信など。

(石橋裕貴)

(米国)

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