第3四半期のGDP成長率は前期比3.3%に回復

(オーストラリア)

シドニー発

2020年12月03日

オーストラリア統計局(ABS)は12月2日、2020年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前期比3.3%だったと発表した(添付資料表1参照)。オーストラリアは2020年に入って以降、山火事や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、2四半期連続のマイナス成長を記録し、29年ぶりに景気後退入りしたが、回復の兆しがみえ始めた。ただし、前年同期比ではマイナス3.8%と、引き続き低水準にとどまっている。

需要項目別の実質GDPを前期比でみると、新型コロナウイルス感染拡大防止のための制限措置の緩和が進んだことから、民間最終消費支出が7.9%増と大きく回復した。政府の経済支援策の実施などによって、政府最終消費支出も1.4%増となった。財貨・サービスの輸出は3.2%減だったが、輸入は6.5%増となった。

産業別にみると、鉱業が1.7%減、農林水産業が0.6%減となった以外は、全ての産業が前期比で増加した(添付資料表2参照)。前期に大きく落ち込んだ宿泊・飲食サービス業が41.0%増と大幅に回復したほか、医療サービス業(9.1%増)、不動産業(7.7%増)、情報通信業(6.3%増)、小売業(5.6%増)などの増加が顕著だった。オーストラリアの主要産業である鉱業は、鉄鉱石が0.7%増だったものの、石油・ガスが3.9%減、石炭が3.7%減となった。

ジョシュ・フライデンバーグ財務相は「四半期ベースでは1976年以来最大の増加幅となり、オーストラリアの経済回復が進んでいることを確認した」と述べた。しかし、「数字の上ではオーストラリアの景気後退は終わったかもしれないが、経済回復はまだこれからだ」と強調した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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