自動車業界、半導体不足が生産に及ぼす影響を懸念

(中国)

上海発

2020年12月09日

中国汽車工業協会(CAAM)の李邵華・副秘書長(副幹事長相当)は12月8日、中国自動車業界が車載半導体の供給不足に直面している現状を明らかにした。CAAMは既に完成車メーカーや部品メーカー、半導体関連会社など主要60社余りに対する調査を実施し、調査結果を政府の担当部署に提出したという。

車載半導体の供給不足原因について、CAAMでは調査に基づいて以下のようにまとめている。

  1. ここ数年の半導体企業の設備投資意欲は低く、新型コロナウイルスの影響により一層慎重になった。2020年上半期に世界の半導体需要が低調に推移するとみた企業が多く、下半期も中国市場の需要拡大を見込んでいなかった。
  2. 急速に発展する第5世代移動通信システム(5G)の環境下、電子機器分野で半導体需要が急増し、自動車向け半導体の生産能力が奪われたかたちになった。こうした傾向は2021年も続くとみられ、多くの半導体メーカーは車載半導体の価格を引き上げるとともに、供給量を削減していくだろう。
  3. 欧州や東南アジアでは、新型コロナウイルスの第2波により主要な半導体工場が生産を停止し、海外メーカーの半導体供給が低下している。
  4. 電動化とスマート化、ネットワーク化の進展に伴い、自動車用半導体の需要が急増し、半導体の需給バランスが崩れた。

李副秘書長は「車載半導体の供給不足により、2021年1~3月期に一部の自動車メーカーの生産に影響を及ぼす可能性がある。半導体の生産能力不足は短期間で解消されないため、価格上昇は避けられないだろう」とコメントした(「汽車縦横網」12月8日)。

フォルクスワーゲンの中国生産に支障

中国の乗用車市場で最大のシェアを持つフォルクスワーゲン(VW)は12月5日、中国中央テレビ(CCTV)の取材に対し、車載半導体の供給不足で中国での現地生産に支障が出ていることを認めた。現時点では納車に影響は出ていないが、特定の自動車用電子部品向けの半導体供給が滞っているため、自動車の生産が一時停止に追い込まれるリスクがあるとしている(「CCTV財経チャンネル」12月5日)。

(劉元森)

(中国)

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