米商務省、カナダ産針葉樹材へのAD・相殺関税を見直し

(米国、カナダ)

米州課

2020年12月02日

米国商務省国際貿易局(ITA)は11月24日、カナダ産針葉樹材に対して賦課しているアンチダンピング関税(AD)および相殺関税(CVD)について、2017年と2018年の行政見直し最終結果を明らかにし、11月30日(AD)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます12月1日(CVD)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにそれぞれ官報で公表した。これまで、ADとCVD合わせて9.38%(JDアービング)~23.56%(ウエスト・フレイザー・ミルズ)の税率が課せられていたが、行政見直しの結果、2017年の税率は4.93%(キャンフォー)~19.86%(レゾリュートFPカナダ)、2018年以降の税率は4.23%(JDアービング)~20.25%(レゾリュートFPカナダ)に変更された(添付資料表参照)。企業別でみると、ほとんどの企業の税率が大幅に引き下げられたが、レゾリュートFPカナダのみ税率は引き上げられた。

米商務省の行政見直し最終結果公表を受けて、カナダのメアリー・エング中小企業・輸出振興・国際貿易相は11月24日に声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「一部のカナダの生産者に対する関税引き下げは正しい方向への一歩」と述べる一方、レゾリュートFPカナダへの関税引き上げに強く反対した。また、針葉樹材の主要生産地であるBC州のジョン・ホーガン州首相は、「関税の引き下げにより林産業にとって必要な救済がもたらされる」と米商務省の判断を歓迎する一方で、「針葉樹材に適用される関税措置は不当で、WTOなどの紛争解決制度を通じて関税の撤廃を求めていく」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米国政府によるカナダ産針葉樹材に対する相殺関税措置については、カナダ政府の要請に基づきWTO紛争処理小委員会(パネル)が設置され、パネルは2020年8月24日、米国の措置はWTOの補助金および相殺措置に関する協定に違反しているとの裁定を行っている(世界貿易投資動向シリーズ「カナダ」参照PDFファイル(852KB))。米国は9月29日、パネルの判断を不服として上訴したが、WTO上級委員会は、実質的に機能停止になっている(2020年12月1日記事参照)。

(中溝丘)

(米国、カナダ)

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