投資誘致の5重点分野を発表、銅鉱山の開発など推進

(フィリピン)

マニラ発

2020年12月04日

フィリピン貿易産業省(DTI)と投資委員会(BOI)は11月24日、同国への新しい投資誘致キャンペーン「メーク・イット・ハプン・イン・ザ・フィリピン」の立ち上げを発表した。発表の中で、銅産業、IT-BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)、航空機、自動車、電子機器の5つを投資誘致の重点分野とした。フィリピンが優位性を有すると考えられる5分野を中心に海外からの投資を呼び込む狙いだ。

同キャンペーンでは、多言語サイトやイベント、ソーシャルメディアを駆使して、5つの重点分野を中心に同国への投資をプロモーションする。進出を検討する投資家は、BOIの専門家による進出に関する相談サポートや、企業や経済団体とのネットワーキングサービスを受けることができる。加えて、同国の産業動向、各種インセンティブについて情報提供を得ることができる。新型コロナウイルスが経済に負の影響をもたらしている中、同キャンペーンによりフィリピンへの投資を促進し、国内経済を活性化させる狙いがある。

銅産業については、フィリピンは世界で4番目に銅を埋蔵しており、カソードや合金などの銅製品を生産している。DTIは、今回のキャンペーンを通じて、大規模な銅鉱山開発や、銅ワイヤロッド生産施設、高付加価値な銅製品製造への投資を期待している。なお、同国に多く賦存する銅やニッケルは、それぞれ電気自動車のモーターやバッテリーの生産に使用され、今後の需要増加が見込まれる。DTIは、レイテ州に銅・ニッケル関連の工業団地を12月に設置することを明らかにしている(政府通信社11月26日ほか)。

今回のキャンペーンでは、フィリピンの代表的な産業であるIT-BPM、電子機器に加え、航空機や自動車も対象とした。これまで航空機分野では、飛行制御システムや内装品、パネル組み立てなどの航空機部品の生産や、航空機整備産業(MRO)の立地がみられる。自動車については、自動車国産化政策の一環として「包括的自動車産業振興戦略プログラム(CARSプログラム)」を実施している(注)。

なお、DTIは、電子機器の中でも集積回路分野を投資奨励分野に設定し、同分野の登録企業に対して各種優遇措置(一定期間の法人所得税の免除など)を適用している。

(注)フィリピンで新規生産される四輪自動車モデルを対象に、1モデル当たり最大90億ペソ(約198億円、1ペソ=約2.2円)の経費を支援する。

(吉田暁彦)

(フィリピン)

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