セルビア議会、2021年度国家予算法案を承認

(セルビア)

ウィーン発

2020年12月22日

セルビア議会は12月10日、2021年度(暦年)セルビア国家予算案を付随法案とともに賛成201票、反対4票で可決した。2020年6月に行われた議会選挙(2020年6月26日記事参照)で主要野党がほぼ議席を失っていることから、審議期間はわずか3日という異例の短さで法案が可決された。

歳入総額は2020年度修正予算の3.5%増の1兆3,360億ディナール(約1兆4,696億円、1ディナール=約1.1円)、歳出総額は同14.7%減の1兆5,140億ディナール、収支は1,780億ディナールの赤字が見込まれ、これはGDPの3%に当たる。

シィニシャ・マーリ財務相は、セルビアは今後2年間で欧州において最も高い経済成長を成し遂げると予測した上で、同予算案は2021年のGDP成長率を6%とする見通しに基づき立案されたと述べ、国民生活水準の向上を目的とするインフラ整備(注)にGDPの5.5%に当たる3,300億ディナールを確保したとも語った。

医療関連予算に関しては、2020年12月に完成したベオグラード市近郊のバッタイニツァ町やクルシェバッツ市などの疫病専門病院などの建設に既に多くの予算を割いてきているが、2021年度予算はさらに750億ディナール増の3,863億ディナールを確保したと述べるとともに、2019年度予算から約1,000億ディナールの増加になると述べた。また、国立医療機関の職員などへの給与は、2020年4月に10%の増額や1万ディナールの一時金支給などを行ってきており、2021年1月からさらに5%の引き上げを発表した。同時に、公務員の給与については、2021年1月に3.5%、4月には1.5%引き上げると述べた。さらに、171万7,000人の年金受給者に対しては、2020年12月18日に一時金5,000ディナールを支給、2021年1月からは年金の5.9%の増額を行うことも発表した。

また、2012年に、前民主党政権時代にアゼルバイジャンから受けたローンの返済期限を2021年に迎えることに関連して、2020年の国営銀行「コマーシャル銀行」の売却益4億ユーロから1億7,000万ユーロを返済に充てると述べた。この返済により、GDPに占める公的債務の割合が0.4ポイント削減されることが予想されている。

(注)モラバ回廊、プレリィナ-ポジェガ高速道路、イバラック~ライコバツ高速道路、ニーシュ~プロチニック高速道路、ルマ~シャバッツ~ロズニッツァ高速道路、フルシュカ・ゴーラ回廊、ベオグラード~ブダペスト高速鉄道計画の一部に当たるベオグラード~ノビ・サド間の建設継続、新規工業団地建設など。

(鈴木秀男)

(セルビア)

ビジネス短信 5d350a16049162fb