米セールスフォースがスラックを277億ドルで買収

(米国)

サンフランシスコ発

2020年12月03日

米国の顧客管理(CRM)プラットフォーム大手のセールスフォース・ドットコム(Salesforce)は12月1日、企業向けチャットサービスのスラック・テクノロジーズ(Slack)を約277億ドル(一部セールスフォース普通株を含む)で買収すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

セールスフォースのマーク・ベニオフ会長兼最高経営責任者(CEO)はプレスリリースで、今回の買収について「最高の組み合わせ。セールスフォースとスラックは共に企業向けソフトウエアの未来をかたち作り、全てがデジタル化した、どこからでも働ける世界において人々の働き方を変えるだろう」と述べた。スラックはセールスフォースの傘下に入るが、買収後もスチュワート・バターフィールドCEO兼共同創業者が引き続き事業を率いる。

現地メディアは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、多くの企業がリモートワークへシフトする中で、今回のスラック買収は収益化を狙うテック企業の一連の動きの1つだが、その中でも最も高額な取引だと報じている。

スラックは2009年設立で、2019年に上場した。スターバックスや小売り大手ターゲットなど多数の大手企業や政府機関などが、150カ国以上で同社サービスを利用している。リモートワークの増加とともに同社サービスへの需要は一時的に増えたものの、競合サービスであるマイクロソフトのチームスがオフィス365ユーザーにはセットで提供されていることもあり、その躍進に押されていた。また、サービス型ソフトウエア(SaaS)でも成功するマイクロソフトは、セールスフォースにとっても脅威で、今回の買収はマイクロソフトに対抗するためとみられる。

(田中三保子)

(米国)

ビジネス短信 57c7a95931a7f951