第3四半期の貿易赤字、経済再開による輸入増で2008年と同水準に

(米国)

ニューヨーク発

2020年12月25日

米国商務省が12月18日に発表した2020年第3四半期(7~9月)の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前期比15.8%増の5,220億ドル、輸入は16.6%増の7,104億ドルとなり(添付資料表1、図参照)、赤字額は297億ドル増加して1,884億ドルとなった。これは、高水準の貿易赤字が続いた2006~2008年のうち、2008年第3四半期(7~9月)の1,897億ドルと同水準だ。輸出入ともに、新型コロナウイルス感染拡大に伴って大幅に落ち込んだ前期に比べ増加したが、国内の多くの経済活動が当該期に再開したことなどから、輸入も伸長し結果として赤字幅は拡大した。財、サービスの内訳では、財が2,456億ドルの赤字、サービスが572億ドルの黒字だった。

財貿易をみると、輸出が前期比23.7%増の3,571億ドル、輸入が18.6%増の6,027億ドルだった(添付資料表2参照)。輸出では、原油を含むエネルギー関連製品や乗用車(カナダ以外)、自動車部品および周辺機器(カナダ以外)、輸入では、自動車部品および周辺機器(カナダ以外)や家庭用品(携帯電話を含む)、原油を含むエネルギー関連製品の順で押し上げ要因となった。

メキシコなど、自動車関連製品の輸入が増加

財貿易を主要国・地域別にみると、輸出では、カナダが前期比42.4%増の678億ドルで、最大の押し上げ要因になった(添付資料表3参照)。乗用自動車や貨物自動車、自動車部品などが増加した。次いで、メキシコが39.1%増の536億ドルとなった。自動車部品、石油および歴青油(原油を除く)、ディーゼルエンジンなどが伸びた。

輸入では、メキシコが前期比59.8%増の895億ドルで、最大の押し上げ要因になった。乗用自動車や自動車部品、貨物自動車などが増加した。次いで、カナダが42.5%増の719億ドルと押し上げた。乗用自動車、原油、自動車部品などが増加した。

第2四半期(4~6月)に前期比31.1%増の805億ドルと大幅に拡大した対中貿易赤字は、中国国内の経済活動の回復などを背景に、輸出が伸びたことから減少に転じ、赤字額は1.9%減の790億ドルとなった(2020年10月26日記事参照)。

なお、12月4日の商務省の発表によると、10月の輸出(財・サービス)は9月より40億ドル増加して1,820億ドル、輸入は50億ドル増加して2,451億ドルとなった。輸出入ともに回復基調にある中での今後の見通しに関し、米調査会社ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏は「新型コロナウイルスによる感染は依然として増加している。国内外での活動に対する制限が拡大することはサプライチェーンを混乱させ、需要を圧迫する可能性がある」と述べ、貿易の見通しは依然として不透明との見方を示した(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版12月4日)。

(大原典子)

(米国)

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