英EU交渉なお結論出ず、ジョンソン首相がブリュッセル訪問へ

(英国、EU)

ロンドン発

2020年12月08日

大詰めを迎えている英国とEUの将来関係交渉(2020年12月7日記事参照)が、12月7日も前日に続きブリュッセルで行われた。しかし、双方の交渉団はなお妥結に至らず、同日夕刻に英国のボリス・ジョンソン首相と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が再び電話で協議。「公正な競争条件(レベルプレイングフィールド:LPF)」「漁業」「ガバナンス」の3分野で重大な相違が残り、合意をまとめる条件が整っていないとの考えで一致したとする共同声明を発表した。

両首脳はまた、今後数日の間にブリュッセルで直接協議すべき残りの相違点の概略を整理するよう、双方の首席交渉官に指示。ジョンソン首相が現地に赴き、首脳会談で決着を目指す考えを示した。日取りは明らかにされていないが、10、11日に開催される欧州理事会に先立って行われる可能性などが報じられている。

離脱協定違反法案では軟化

12月7日の交渉で目立った進展がなかった一方で、英国政府は同日午後、離脱協定に基づく合同委員会とアイルランド・北アイルランド議定書の施行に関する声明を発表。英国とEUが同委員会を通じて建設的に協議を進めており、数日以内に最終的な決定に至るとの見通しを示した。声明は続けて、その決定により北アイルランドをめぐる英国の懸念が払拭(ふっしょく)されれば、政府はEUが反発している「国内市場法案」の離脱協定に違反する部分を削除または無効にする用意があり、また12月8日に議会に提出される予定の「税制法案」の内容の見直しも行うことを明らかにした。

「国内市場法案」の協定違反条項をめぐっては、上院が11月9日の採決で該当条項の削除を可決し、法案を下院に戻していたが(2020年11月11日記事参照)、下院は12月7日に同条項を復活させる動議を可決している。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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