韓国政府が「2050カーボンニュートラル推進計画」を発表

(韓国)

ソウル発

2020年12月17日

韓国政府は12月7日、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官主宰の第22回非常経済中央対策本部会議を開催し、「2050年カーボンニュートラル推進戦略」を公表した。韓国では、10月28日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が同方針を宣言していた(2020年10月29日記事参照)。

同計画では、カーボンニュートラル、経済成長、生活の質の向上を同時に達成すべく、「経済構造の低炭素化」「低炭素産業エコシステムの形成」「カーボンニュートラル社会への公正な転換」について、それぞれ課題を設定した。

「経済構造の低炭素化」については、石炭火力発電の割合が約4割と依存度が高いことから、CCUS技術(注)の開発、再生可能エネルギー導入拡大のための送電網の拡充などを行うとともに、電力多消費産業とされる鉄鋼業における水素活用還元プロセス技術開発などを通じ、低炭素化を促進する。また、燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)の生産・普及とインフラ整備、建築分野のゼロエネルギーの義務化やエネルギー効率に優れた都市づくりなどを行う。

「低炭素産業エコシステムの形成」については、低消費電力の半導体を開発し、引き続き市場をリードしていきたい考え。グリーン水素開発では、商用化に向けた水素タービンの開発や水素流通インフラの構築などを進める。CCUSは、実証実験や貯留施設の構築による早期商用化を目指すほか、二酸化炭素(CO2)を燃料、原料として再合成する(メタネーション)炭素循環産業を育成する。

「カーボンニュートラル社会への公正な転換」については、低炭素経済への転換によって被害を受ける事業者への保護支援策として、事業再編の援助や再就職支援などを行い、転換過程で不利益を被る階層や産業がないようにするとした。

今後は、同計画をベースに、2021年6月までに部門別の削減暫定量の分析、カーボンニュートラル達成に向けた複数のシナリオ作成などを経て、2021年中に各部門別の戦略を策定する。

(注)火力発電所などから排出される二酸化炭素を回収・利用・貯留する技術。

(当間正明)

(韓国)

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